女だけの街で

あるいは”男“はいつか絶滅するかもしれない

単体生殖とか、男児を間引くとか、

Y染色体が云々かんぬん

でも、“男性性”は、消えない


差別の存在によってこの社会が、

この世界が維持されているという現実は、

悔しいけれど確かだ

だから、もしも差別がなくなったとき

我々はその空いた空白に代わりのものを埋めなければらない

“何”をすればいいのだろう


この世界があくまでも貨幣制度を維持するなら

仕事は必ずしなければならないとして

そしてこれまで通りの再生産性を維持することだろう

そこで外仕事と家事など、それぞれの仕事があるなら


“男性的な女性”と“女性的な女性”に分かれて

単にこれまでの世界が続くだけではないか

もしもその役割分担がない世界であるならば

男と女の問題は“男と女”の問題ではない


ありとあらゆる差別がなくなれば

世界は平和になるというのだろうか

そうなったらそうなったで別の問題が起こるのではないだろうか

今までになかった問題が


“男”だって、別に好きで男社会にいるわけじゃないし、

悪意を込めて女を攻撃してるわけでも、

嫌がらせで弱者男性をいたぶってるわけでもない

ただそれが長年の時間をかけて作られた習慣だから、

単にそれを踏襲してるだけのこと


だから“それをやめろ”と言っても通じないんだ

他の可能性を知らないから


誰もがあらゆる可能性を持っている

全ての可能性は全てのものに平等に存在する

だから彼にも可能性がないわけではむろんない

しかし可能性に善悪の区別はないから


我々は次のステップに進む度に

全く新しい問題を生んでいる

それは新世界でも変わらないはずだ

問題のない世界などない


とはいえ男は何も悪くないとは思わない

差別が習慣の問題で構造の問題でも

彼女はジェンダーにおける生き苦しさを話してて

彼は人間としての息苦しさを話してる


ただもしも“女だけの街”があって

そこでは“女性差別”がないのであれば

その可能性は“とりあえず”男女差別のない世界のはずだ、と、

思うのだが

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Yin and Yang and 横谷昌資 @ycy21M38stc

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