2世目
次に私が目を覚ましたのは戦時中日本だった。
そこで私は、男だった。私が前世で死んだ年齢よりも若い男だった。私は、武器を片手にまた人を殺めた。何人も殺めた。返り血だらけの私の傍らで、血塗れで今にも息絶えそうな日本兵がいた。その人が呟く何かを聞いていた。
「お前生きて家族に会え。俺はもうダメだ。この世は終わってる。お前は良い奴だったよ。なぜだか、お前とはこの戦場で初めてあったのに、前にもあった気がするよ。何故だろうな。俺はもう家には帰れない。だから俺の家族をお前に託す!頼んだぞ。
と言って、男は去った。男もとい私こと龍矢は戦場に行く同じ班所属だった。その為仲が良かった。
私は、1945年のこの日まで生き延びた。悪夢のような日々が終わった。私は、この日までにどれだけの人を殺めたろう。生きるために殺め続ける。もう疲れた。私は、最後に自分の頭に銃口を向けた。これで終わりにしようとしたのだ。しかし、男から頼まれた事を成し遂げようとも思った。
私は、男の実家に向い、男の家族に事の顛末を話した。男の妻が泣きながら話し始めた。
「主人が、お国のためと立派に生きたと分かり、嬉しい限りでございます。本当にありがとうございます。」
彼女は、泣き続けた。無理もないことだ。あれだけの荒れ狂う中で彼女は1人この家を守り続けたのだから。こんな状況なのに私は、彼女に疑問抱いていた。そう、彼女が私が前世で恋した人な気がしたからだ。この夫婦2人から私は、懐かしい気持ちでいっぱいだった。だが、もしもそうだったとして未亡人となった彼女に私は、呪いを解くために結婚を申し込むなんて人として終わっている。私は、そっとこの家を出た。
1人夜の焼けた道を歩いた。悲しい匂いで溢れかえっているこの夜。私は何も考えずに大いなる海へと入った。そして、夜空を見上げ、
「私は、本当に呪われているのか。」と、呟き深い眠りについた。
また、この場所だ。何も無いただ暗い闇。
前にも聞いた声が私に話しかけた。
「お前はまた、人を手にかけた。この罪はお前の身を焦がすような罰として再びお前に与える。しかし、お前の呪いは本当に強い。この私でさえもが解いてお前により重い罰を下すことができないのだから。仕方がない。お前をまた、次の世に送らねばならん。もう人を殺めるなよ。さぁ行け!」
「1つ質問を…私は彼に会っていましたか?」
「そんな事、私は知らぬ。ただし、彼はもう先に次の世へ行った。さぁお前は罰を受け続け、次の世へ行け!」
次の世は、現代の日本だった。
来世の呪いと前世の鎖 江藤渚 @IceRose234
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