来世の呪いと前世の鎖

江藤渚

始まりの1世目

 これは永遠に解けることの無い呪いにかかった私とあの人との物語。


 昔昔、とある世紀の大悪党がいた。は、老若男女何にでも変装し、殺しや盗みなどの決して許されないことばかりしていた。しかし、は、貧しい暮らしをしていた人達には英雄だった。なぜなら、貧しい暮らしをしていた人達に盗んだものを与えたり、それを売った金を渡したりした。とある時は、残忍な事をした。身分の高い者を殺め、被害者を救ったのだ。だが、その誰一人として、を知らなかった。は、決して素を見せなかったからだ。もし、が素を見せたらどうだろう?

 この結果は以外にも簡単だった。

 は、素を見せた唯一の者に恋をした。恋をした者の親はとの恋路を認めなかった。やがて、は貧しい者からも英雄とは言われなかった。彼らを支配する側にが回ってしまったからだ。そして、は冤罪をかけられ、今世を去った。


 は、女だった。まだ20になったばかりの若い人だった。女の名前は、誰も知らなかった。恋した人にも本名だけは明かさなかったという。しかし、2人は約束をした。その約束が、呪いになることも知らなかった2人はこう約束した。

『いつか私達2人が結ばれ周りの人にも理解され、平穏で慎ましい暮らしができるそんな世界で、またあなたと出会おう。もし会えなくともいつかは会える。だから諦めずに探そう。例え、お互いがお互いを忘れていても、この約束だけは忘れないで』と。


 それから、女は死の世界にやってきた。

 死の世界で、女は低く野太いどこか恐怖のある何かにこう言われた。

「お前は、世紀の大悪党として有名になった。しかし、これは称えられる栄光ではなく、許されぬ事だ。お前は本来ならそれ相応の罰を与えるのだが、お前は強い呪いをもってここへ来た。その呪いはお前を永遠に苦しめるだろう。それがお前への罰だ。大方、お前は来世に行ってもろくなことが無いだろう。そうだ、ここでのお前の罰は永遠に生前の事を記憶し続ける。無論その世で死んでも繰り返される。そしてお前が愛した者がここに来た時お前の事を忘れさせよう。だが呪いがあるのが邪魔だが致し方ない。さぁ、行け!お前は罰を受け、永遠に繰り返し生きるのだ!」


 次に私が目を覚ましたのは戦時中の日本だった。

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