第6話 イージス②

「日本の首都である東京」


う、うん…?


「東京から千葉県とかのほかの県には行けないの。血毒者がいるから、東京に」


血毒者って化け物のことだ。


「東京の中だけで留めてほかの県には血毒者を入れないように壁ができてるの。いずれ見ることが出来るわ。だから、東京から出られないようになっている」


東京から出られない…?


「あなた、東京住みだったんでしょ?」


「は、はい…」


「なら分かるわよね?東京はこんな街の雰囲気じゃなかったって。あんな化け物なんていなかったって」


確かに、雰囲気は違うし、あんな化け物もいなかった。


「簡単に言うと地球が二つあるの。一つがあなたと私がいたような地球。もう一つは今私たちがいるような地球」


地球が二つあるなんて信じられない。


でも、今の状況的に地球が二つあるという理論じゃないと説明がつかない。


だって、あんな化け物いなかったよ…


あんな化け物…


思い出すだけで鳥肌がすごい。


「まぁ、あとは女性はみんなスカート履いてたでしょ?他には警察官は抹茶色だったり」


確かに…


でも、一日で信じられるはずがない。


だから、少しずつ受け入れていこう。


この真実を。


「ダッサイでしょーーー?警察官の抹茶色。ぷッ!思い出すだけでおもろいわーー!」


抹茶色の発音が真っ茶色になってますけど…


あ、そうだ。


「何個か質問いいですか?」


「なんでもどうぞ」と司令官は言った。


「なぜ、ボスは俺が川井泉だって知ってるんですか?」


「あー、それはね、転生者リストに載ってるからだよ」


「転生者リスト?」


「私はね、転生者リストを送ってくれる良い死神と繋がっていてね」


し、死神…?


また、すごい話が…


ってか、良い死神って良いの?


じゃあ、悪い死神は…?


「悪い死神っていうのは、血毒者を作り出している、クライムという機関のボスと繋がっているの。良い死神と同じように悪い死神も転生者リストを渡している」と蓮見さんは説明した。


俺の考えてることが分かって、る…?


ちょっと怖いな、この人。


ま、でもおかげで理解出来たけど。


「じゃあ、あと、藤堂って誰ですか?」


数秒、沈黙が続いた。


「藤堂蓮(とうどう れん)。泉君の今の体である人の名前」


司令官は辛いことを思い出しているような顔をした。


泣くのを我慢しているのか目を細めている。


「まぁ、どちみち話すつもりだったからね。そうね蓮はね、とてもクールで、みんなから信頼されていて、しかも強かった」


"信頼されている"


それは、あの三人を見ていたら分かる。


「だけど、強すぎた、蓮以上に相手が。あの時、蓮以外のイージスは立てなかった。深い傷を負っていたり、体力を消耗しすぎたりで。だから、アイツと蓮が戦うハメになってしまった。でも、その時みんなは思った。"蓮しか渡り合えない"って」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

血毒~涙の花嫁~ 桜花 @AKARIBOSI

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ