第5話 イージス①
「っっう…」
俺はゆっくり重い瞼を開けた。
眩っ!(←眩しいということです)
「あら、目を開けたのね。ここはイージスよ」
誰だ、この美人オババは…
セクシー…
見とれていると、
「あなた、川井泉君でいいのかしら?」
カワイ、イズミ…
川井泉!?
寝ぼけて一瞬誰かと思ったが、完全に俺だわ!
「は、はい!!間違いなく俺です!」
「そう、良かったわ。私、直江律子(なおえ りつこ)って名前よ。よろしく」
俺は起き上がり、直江さんが差し出した右手をギュッと握った。
「ところで、なんで俺のこと…」
「ここは異世界なの。あなたにとってだけど」
「い、異世界…?」
異世界ってあの!?
どの?
キョトンとした顔で悟られたらしい。
直江さんは異世界について話し始めた。
「あなたがいた所って東京よね?」
「そ、そうです…」
「ここも東京なのよ」
はい!?
ここが東京だって?
「そ、そんな。俺こんな所知らないですよ」
「知らなくて当然よ。あなたがいた所を表の日本だとすると今、あなたがいる所は裏の日本っていうことよ」
「な、なるとほ…」
意味が分からなさすぎて噛んでもうたやん。
「まぁ、短くまとめるとここは日本だけど、日本じゃない」
うん、この人の説明あんまり分からん。
ガチャ
「お!少年起きたかーーー!」
また美人が入って来た。
前髪をかき上げている、いわゆる、かき上げ系女子。
目は切れ長だけど、すごくそれが似合っている。
藤堂君も切れ長だったな、確か。
「泉が倒れてのはただの貧血だ!」
この人、声がデカイな。
元気が良すぎるのか…?
「私、蓮見由里子(はすみ ゆりこ)。こう見えて43歳!あ、ここはねー、イージス専用の仮眠室だよ!」
仮眠室か…
すごい生活感があるな。
でも、病院の一人部屋ってこんな感じだったっけな。
「ここは病院か何かですか?」
「うーん、血毒者の被害にあった人だけが来る病院って感じかなー。まぁ、あとはイージス専用の仮眠室を設けてるの。この階は」
てことは、この階にいる患者さんて血毒者の被害にあった人ってことか。
「仕事が残ってる人とかちょっと疲れた人とかがここを使って休むのよ。あとは家がない人とか」
「は、はぁ…」
最後の家がない人がよく分からんが…
「由里子!」
「はい、何でしょうか、ボス!」
ぼ、ボスって偉い人じゃ?
俺、今さっき口には出てないけど、ババアとか言ってなかったか?
ごーめーんーなーさーい!
これは心の裏側からの謝罪なのでどうかお許しください。
「由里子も転生してきた人だろ?教えてやってくれ。私じゃ説明しきらん」
「はい!任せてください!」
「よ、よろしくお願いします…?」
「じゃあ、まず転生って意味わかるわよね?」
「転生…分かります」
「私たちは1度死んでるの。そして、違う世界に飛ばされて、違う人の体を使って今動いてる。心は自分自身だけどね。」
これが転生という意味だよ、と付け加えられた。
「そして、ここがどこかっていうと…」
そう、これを知りたい。
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