初恋相手の女の子に二回失恋したわたしが、今度は一番の親友を目指すお話
@Shirayuki2021
初恋相手の女の子に二回失恋したわたしが、今度は一番の親友を目指すお話
「昨日の夜も彼女の南がなかなか帰してくれなくてさぁ、大変だったんだよ」
ホームルーム前の朝の教室。
「その話は萌香ちゃんの前ではしなくていいから!」
飛び交う乙女達の談笑。その例に漏れず、わたし・石渡萌香も親友たちと朝のお喋りに興じていた。
「あはは。ほんと南ちゃんと喜多は仲がいいよね。ちょっと羨ましい」
「おっ、入学以来二十人の女の子を振ってきた氷の姫もついに彼女が欲しくなってきたか?なってきたか?」
「その言い方、ちょっと酷すぎない?まあ確かにわたしも女の子として彼女持ちは羨ましいなあ、って思うよ。でも、やっぱりわたしは初恋相手のことを忘れられないから」
「いちずぅ!」
「それに、彼女じゃなくてもわたしには大切な”友達”――喜多達がいるからね!」
そう言ってわたしが喜多と南の首元に手を回すと二人はくすぐったそうに、でもまんざらでもなさそうに笑う。
彼女の話だとか、どこぞのカフェがお洒落だったとか、そんな他愛もない会話。なんの代り映えもない女子高のいつもの風景。でもそんな毎日が、わたしにとってはめちゃくちゃ楽しくて、愛おしい。
この世界では女の子は女の子で、男の子は男の子でお付き合いするのが当たり前。でもだからと言って女の子同士の友情が成立しないわけじゃない。現にわたしが今所属しているグループでは南と喜多の他にもう一組のレズビアンカップルを含めた計五人でいることが多い。でも互いに不倫したりすることなんてなく、楽しくやれている。
とある理由があって、最初はちょっと背伸びして始めた「ギャルっぽい」、「女の子っぽい」会話をしたり恰好をしたりすること。始めた時に思い描いていた理想像には高校二年生になった今でも辿り着いてなんかなくて、わたしは髪色も中途半端に染めてる「なんちゃって」ギャルに過ぎないのかもしれない。でも、そんなわたしのことをグループのみんなは肯定し、受け入れてくれている。
うんうん、それはグループのメンバーだけじゃない。この学校全体の人が高校生になってまで彼女の一人も作ったことのないわたしのことを受け入れてくれている。そんなこの学校は、わたしにとってものすごく居心地がいい。わたしには彼女もいないし、初恋相手のことが忘れられないから作ることもできないけれど、このままで十分幸せ。そう、思っていた―――――――――――――今のいままでは。
「ほら朝のホームルーム始めるから早く席に着けー」
いつの間にか教室に入ってきていた担任教師の花岡の言葉でいつものように気のない返事をしながらわたし達は自分の席へと戻る。ちなみに生徒はもちろん、教師も殆ど女性で構成されている蛍浜女学園ではわたしのクラスのように男性が担任を持つのは珍しい。わたし達の学年でも、うちのクラスぐらいだったかな。
席についてもいつものようにがやがやしているわたし達をようやく鎮めた花岡は、急に厳かな口調になる。
「今日はこのクラスに転入生がいる。土岐、入ってきなさい」
花岡の言葉を合図に入ってきたのは黒髪の少女だった。思春期の女の子らしく、せっかく静まったのにまたクラス全体は突然の転入生の登場に色めきだつ。
でもそんな中でわたしは一人、彼女の顔を見て言葉を失っていた。
肩まで伸ばした美しい黒髪、エメラルドグリーンの瞳。その瞳に宿っている光はわたしが知っている強い意志を感じさせるものではなくってどこか自信無さげだったけれど、わたしがあの人のことを見間違えるはずがない。だって彼女はわたしの……。
「土岐、自己紹介してくれるか」
「は、はい。わたしは」
「
気づくとわたしは立ち上がってそんなことを口走っていた。でも一度口を開いてしまうと止まらなかった。
「わたしのこと覚えてる?わたし、栗宮第三小学校で一緒だった
そう、彼女――若葉さんはわたしの小学校の時のクラスメイトで――わたしの初恋相手。
わたしの母は転勤族で高校に上がる前までは何度も転校を繰り返した。ただでさえ幼い頃のわたしは人見知りで陰キャで人の輪に入っていくのが苦手だった。だから転校ばかり繰り返していて友達なんてできるはずがなかった。小学校五年生の時、栗宮第三小学校に転校した時もわたしは転入してから一週間後には孤立していた。そんなわたしに話しかけ、友達になってくれたのが土岐若葉さんだった。
若葉さんがわたしに近づいてきたのは彼女がクラス委員長としての責任感のようなものだった、というのはわかっていた。当時の彼女は成績優秀・運動神経抜群で誰に対しても優しくて人望の厚い、クラス委員長の鑑のような存在だったから。そんな彼女にとってクラスになじめずにいる転校生は「かわいそう」「手を差し伸べなくちゃいけない存在」だったんだと思う。
それでも、わたしは人生で初めてできたこの「友達」のことが大好きになった。そしてその「友達」に対する思いは友情を通り越して「恋愛感情」に変わってしまった。
でも結局、わたしはその思いを若葉さんに告げることなく失恋してしまった。父親の次の転勤が決まってあと一ヶ月しか栗宮第三小学校にいられなくなったある日、若葉さんはわたしにこう告げてきた。
「私、桐生楓さんと付き合うことになったんだ」
それを聞いた途端、わたしの頭の中はぐちゃぐちゃになった。でもどこか冷静な自分もいて、「それもそうか」と思っていた。小学校高学年になれば同性同士でお付き合いする女の子なんて珍しくもなんともないし、何より若葉さんと楓さんはお似合いだった。
桐生楓さんは絵にかいたようなギャルっぽい女の子で、若葉さんとは違った意味だけどクラスの中心にいるような人だった。若葉さんと楓さんは全然タイプが違うけれど”クラスの中心にいる”・”人望が厚い”この二点では共通していて、わたしなんかより楓さんの方がよっぽど若葉さんにお似合いのようにも感じた。
それからわたしはふさぎ込んで転校するまで学校に通わなくなった。そして結局、若葉さんに別れの言葉を告げるまでもなく、わたし達家族は街を発った。
それからも二回ほど転校を繰り返して中学に進学する頃。わたしはふと若葉さんと、そして若葉さんが好きになった楓さんのことを思い出した。
「わたしも楓さんみたいにギャルになれるかな。ギャルになれれば友達も作れて――もし、若葉さんに再会できたら今度は彼女に振り向いてもらえるような女の子になれるかな」
そう思ったわたしは「ギャル」として中学デビューを果たすことを決意した。髪を明るめに染めて、「女の子っぽい」話ができるように話題を研究して、流行のものを必死に抑えて。
自分のキャラを変えるのは思っていた以上に大変だった。お母さんには髪を染めたことを怒られるわ、ママはピアスを開けようとして失敗したわたしの前で泣き出すわ、学校でうまくギャルのグループに入り込んでも根っからの陰キャがふとした瞬間に露呈してしまうわ。わたしのそんな努力は、傍から見たら陰キャによる猿真似にしか見えなかったのかもしれない。
でも、中学に入ってから最初に属したグループのある女の子がある日、こう言ってくれた。
「萌香さんって面白いよね。そんな萌香さんのキャラ、あたしは友達として好きだよ」
そう言われた時、嬉しかった。報われたような気がした。その言葉が自信となったわたしは、それからも、「自分の理想のギャル」になるのを辞めなかった。ギャルなら誰に対しても仲良くなろうとする、ギャルならみんなを明るい気持ちにしてあげられる。そんな自分のなりたい自分を、わたしは追いかけ続けた。
そんな風にわたしが追い求めた「ギャル」、もっと言うと楓さんの像は世間一般の感覚からズレていたのかもしれない。でも、わたしは気にしなかった。
そして、わたしは転校する先々で多くの友達を作り、クラスのみんなから愛してもらえる、先生からはちょっと困った子扱いされるけれどほっとけない女の子、というポジションに落ち着いた。最初は無理して作っていたキャラだったけれど、今は今の自分でいるのが当たり前で苦痛なんて一切感じない。今では胸を張ってこれが表裏の無い、「石渡萌香」なんだって言える。
でも、そんな風に変わることができたわたしのことを一番見せたい相手に見せることはできないんだろうな、って諦めていた。それでも彼女のことを忘れられず、わたしはこれまで告白を受ける度に、その告白を断り続けてきた。
それが今日、今の自分を一番見せたい相手に再会できたんだもん、これは落ち着いてなんていられるわけないよね!
「小学生の時とは雰囲気変わりすぎちゃったから気づかなかったかな?あの時のわたし、めっちゃ暗かったもんね!でも、雰囲気変わったのは若葉さんもそうじゃない……」
朝のホームルームだということを忘れて話しかけていたわたしの言葉がだんだんと小さくなっていく。なぜなら、ここまで話しても若葉さんの表情は困ったようになったまま、ぴくりとも動かなかったから。
ちらっと花岡の方を見ると、花岡の方もなぜか、わたしに苛立ったり困惑している様子はなかった。むしろ、わたしを憐れむような、そして何かを願うような様子でわたしを一瞥した後。
「石渡、積もる話は休み時間にすることにして一旦座りなさい」
となだめるような口調で言う。それにわたしは「はい」と小さく答えて席に戻る。
「土岐、自己紹介を続けてくれるか?」
「は、はい。土岐若葉です。T県の県立風橋高校から来ました。あと……こ、恋人募集中ですっ!彼女がいない女の子がいたら誰か私のことをもらってください!」
数分も経たないうちに私はまた席を立ちあがってしまう。でも、それも仕方ないことだと思う。
「恋人募集中ぅ?」
わたしの絶叫がクラス全体に響き渡った。
その日の昼休み。案の定、転校生である若葉さんの周りには人だかりができていた。
「ねぇ土岐さんってなんか部活入っていたの?」
「ええと、前に居た高校の生徒の九割が男子だったので正式には入ってなかったんですけど、野球とかサッカーの助っ人として呼ばれることが度々」
「へー、男子運動部の助っ人なんてしてたんだ!運動神経いいんだね!」
そんな若葉さんを質問攻めにしているクラスメイトを距離をとって見守りつつ、わたしたちのグループはいつものように五人でお弁当を囲んでいた。
「で、他ならない転校生ちゃんが萌香ちゃんの初恋相手ですな?」
「はいはい、そうですよ」
ニヤニヤしながら聞いて来る喜多さんを珍しくうっとうしく思いながらわたしは答える。
「でも今朝の反応見る限り、土岐さんは萌香ちゃんのことすっかり忘れてそうだよね。萌香ちゃんほど明るくて面白い子を忘れることなんてないはずなのに」
「それは……土岐さんと出会ったばっかりの頃のわたしってすっごく暗い女の子だったから。クラスの中で孤立しているわたしに、当時クラス委員長だった若葉さんが声をかけてくれて友達になってくれたんだ」
「えっ、あの子がクラス委員長?見えねー」
「ちょっとぉ、いくら
そう言いつつ、東にわたしは正拳付きをくらわせる。
「いでっ、ちょ、悪かったって」
「でも萌香ちゃんが陰キャでクラスで孤立してるとか、そっちの方が想像つかないなぁ。だって今の萌香ちゃん、すっごく明るいじゃん。いつも一緒にいると元気をくれる、みたいな? 」
「そ、そうかな」
南ちゃんに改めてそう言われると少しこそばゆい。
「――そういや土岐さん、さっき盛大に恋人募集宣言してたでしょう? なら、改めて告白してみてもいいんじゃないかなぁ」
不意に西さんが口を開く。西さんはいつも彼女である東の隣で眠そうな顔をしながらみんなの話を聞いてくれていて口を開くことがあんまりない。でも西さんが口を開くとき、その発言内容は決まって鋭いものだった。
そしてこの時もまた例に漏れず、核心をついた内容だった。
確かにこれまでも、心のどこかで若葉さんに再会して、振り向いてもらいたいという思いはあった。でも、それはあくまでどこかふわふわとしていて、現実に起こるなんて思ってなかった。
なのに今、わたしは若葉さんと再会している。そして、彼女はおあつらえ向きに恋人募集なんてしてる。それは、もう二度とないと思っていたわたしと若葉さんの物語の続きをするチャンスなんじゃないか。
そう思うと胸がとくん、と大きくなる。
「昔の萌香ちゃんはどうか知らないけれど、今の萌香ちゃんならかなり脈アリなんじゃないかなぁ。萌香ちゃん、学校中の人気者なんだし」
「そうだよ、今の萌香ならいけるって。それに、初恋相手のことをずっと思い続けてこれまで独り身を貫いてきたんでしょ。なら、告白しないなんて勿体ないって」
ここぞとばかりに喜多も力説してくると、わたしの心が更に揺さぶられる。
若葉さんに、告白。そんなこと、わたしにできるのかな……。
そんなことを考えていた時だった。
鈍い音がしたかと思うと、そこには若葉さんが倒れてた。
上がる悲鳴。
「一体何をしでかしたのよ! 」
「何もしてないわよ。ただ若葉さんの手を取ろうとして指先が触れた途端、若葉さんが過呼吸になって気絶しちゃって」
ざわつくクラスメイト達。それをかき分けてわたしは若葉さんの前までおどり出る。
不謹慎だけど気絶している若葉さんも綺麗だな、と思うと、とくん、と胸が大きく高なる。けど、今はそんなこと言ってる暇じゃない。
深く息を吸い込んでから、わたしはクラスメイト達に向かって口を開く。
「誰の責任とかはとりあえずどうでもいいよ。早く若葉さんを保健室に連れて行かなくちゃ。誰か手伝ってくれない? 」
気を失った若葉さんを二人がかりで保健室へと運ぶと、養護教諭の西宮剛先生はうまいこと保健室にいてくれた。クラスメイトがいきなり倒れたんです、と告げると最初こそ驚いた表情になった西宮先生だったけど、若葉さんの顔を見た途端、なぜか「やっぱり」と、意味深な言葉をつぶやいていた。
西宮先生は若葉さんをベッドに寝かせた後わたし達の方に向き直る。
「若葉のあれは、その……アレルギーみたいなものだ。だから安静にしてたらじきに治る。だから心配しな……」
わたしと目の合った西宮先生が一瞬言葉を止め、わたしのことを数秒間、覗き込むように見てくる。
な、なに……?
わたしがそう思ってると。
「まあ心配しないでくれ。あとは僕にまかせて君達は教室に戻りたまえ」
と何事もなかったように続けた。
なんか釈然としないな。そう思ってわたしが立ち上がろうとした時だった。
「君、萌香さんだよね。ちょっとだけ残ってくれないか。2人でしたい話がある」
と、なぜか西宮先生はわたしだけを残した。
「まさか若葉のリハビリ先の女子校に君がいるとは思わなかったよ。と、いうか今の今まで気づかなかった。だいぶ雰囲気変わったね」
二人きりになった途端。西宮先生は饒舌に語り出すけど、わたしの方は全く話が見えてこない。
「……先生は若葉さんの一体なんなんですか? そして先生はどうしてわたしのことを知ってるんですか? 」
「あー、忘れちゃったか。まあ君と僕が会ったのは若葉が君を家に連れてきたあの時だけだからね。改めまして。僕は西宮剛。土岐若葉の幼馴染、男友達さ。まあ年はだいぶ離れてるけどね」
そこでわたしはようやく思い出した。「近所のお兄さん」と若葉さんから紹介された人がいたような気がする。その時は若葉さんの家に遊びに行くということで頭がいっぱいで、正直よく覚えてないけど。
「そして今日、若葉がこの学校にやってきたのは他でもなく僕がこの学校にいたからだ。頼りやすい異性の知り合いがいる環境で、若葉の女性恐怖症を克服するためにね」
「女性恐怖症? そ、そんなわけないですよ、だって若葉さんはクラスで孤立してたわたしにあんなに……」
「そっか、君は若葉が"あの女"と付き合い始めてすぐに転校しちゃったから知らないのか」
「知らない、って何を……? 」
背中にイヤな汗が流れる。聞きたくない、と思うと同時に、ここで聞かないと後悔する、という思いが葛藤していた。
でもそんなわたしの心中などお構いなく、西宮先生はどこか沈んだ表情で続ける。
「"あの女"――楓と若葉の関係は最初は良好だった。若葉も楓のことを愛してたし、お互いに思ってるなら、と、僕も2人のことを応援してた。でも、すぐにそれは間違いだったとわかった。あの時に無理やりにでも2人を引き離すべきだった。
付き合ってから半年経ったある日。2人は中学に入ったばかりだった。そのタイミングで、楓は嫌がる若葉に無理やり性行為を迫ったんだ。それはもう性欲に飢えたケダモノと変わらなかった。無垢で未成熟だった若葉は心身ともに楓に侵され、若葉は心に取り返しのつかない傷を負った。同性の女性を怖がるようになり、まともにコミュニケーションが取れなくなってしまったんだ。
同じ部屋に女性と二人きりでいると過呼吸を起こす、女性に直接身体を触れられただけで卒倒する。これでもだいぶマシになった方で、最初の頃は外で女性とすれ違うのが怖くて家から一歩も出られなかったんだ。
それでも中学三年に上がる頃から少しずつ学校にも行き始めて、最初は男子校、高校進学時に九割が男性の共学校、そして今は女子校に来ている。若葉自身も女性恐怖症を克服したいと頑張ってるんだ。今のこの世界じゃ、同性と一緒にいられないんじゃ仕事にならないからね。
でも、若葉の性格だと無理をしてしまうかもしれない。背伸びをしてしまうかもしれない。だから」
そこで西宮先生は言葉を切り、まっすぐわたしの方を見つめてくる。
「もしよければ、過去の若葉を知る君が若葉が無理をしないように見守ってくれないか」
そう言ってわたしの手を取ってくる西宮先生。その手を、わたしはしばらくじっと見つめていた。
見守ってくれ、なんて言われても思ってもいなかった情報にわたし自身混乱して、まだうまく呑み込めていない。でもただ一つ言えることは……。
せっかく再会できた初恋相手。でも彼女は女性恐怖症ってことは、それって二回目の実質的な失恋宣言じゃないの?
ずきん、と胸が痛む。その考えに思い立ってしまうと、心の中に真っ黒い感情が渦巻き始める。
――また告白する前にフラれたのに、そんな相手を見守ってくれ? それってさすがに残酷すぎない?
――いや、そもそもわたしと若葉さんが再会したこと自体が残酷か。また会うことがなければ、期待しちゃうことなんてなかったのに。
そんなことを思ってると瞼に生暖かいものが溜まってくる。西宮先生に見られないようにわたしは天井を仰ぐ。そこには白い天井に薄黒い染みが広がっていた。
若葉さんが意識を取り戻したのは放課後になってからのことだった。一旦教室に戻っていた西宮先生がわざわざ教室を訪ねてきて「若葉に会ってやってほしい」と言ってきた。
わたしはまだ心の整理がついてなかったから西宮先生について行くか一瞬迷った。でも、行くだけ行ってみよう、と思い直してついて行くことにした。ここで何もしないと、何もしないまま永遠に若葉さんとわたしの関係は終わってしまいそうな気がしたから。
「意識が戻ったんだね、良かったぁ」
保健室に入るなり、わたしは努めて明るい声を出す。そうしていないと恋人になりたいとか、友達だとかそう言った思いが心をぐちゃぐちゃにしてしまいそうだった。
でも、そんな風にせっかく心を整えて保健室に入室したわたしを出迎えた若葉さんの反応は想像していたものとはだいぶ違った。
わたしが若葉さんの寝ているベッドへと歩み出した途端。若葉さんはなぜかぶるぶると震え始めた。そして。
「ごめんなさい許してもうやめてくださいごめんなさい許してもうやめてくださいごめんなさい許してもうやめてくださいごめんなさい許してもうやめてくださいごめんなさい許してもうやめてください……」
突然頭を抱えてうわごとのように唱えだす若葉さん。
――一体なにがおこってるの?
心配になって若葉さんに近寄ろうとすると。
「それ以上近づくな! 」
突然西宮先生が大きな声をだして、わたしの体は固まる。
大声を出した西宮先生は少し気まずそうな表情をしていた。そして。
「誘っておいて本当に申し訳ないんだけど……今の萌香ちゃんは若葉にとって逆効果みたいだ。発作を起こした直後、っていうのもあるんだろうけれど、今の君は若葉にとって最大のコンプレックスである桐生楓に似すぎている。今もさしずめ君のことを楓と混同して錯乱しているんだろう。だから――悪いけど、今日は帰ってくれ。そして、今後なるべく若葉には近寄らないでくれ」
と若葉さんに聞こえないように耳打ちしてくる。
その宣告を聞いて、わたしは崖から突き落とされたような気分になった。
若葉さんが女性恐怖症になった、それを聞いた時が絶望の淵だと思っていた。でもそれは違ったんだね。だって今、それと比べ物にならないくらい、わたしは絶望してるんだもん。だって―――――。
初恋相手に選ばれるように努力して作り上げた今の自分、それが最愛の人から全否定されたどころか、作り上げた今の自分が最愛の人を傷つけてしまっていると言われたんだから。
翌朝から若葉さんは普通にクラスに復帰した。それでもわたしは若葉さんに近づくことはなかったそれは西宮先生にくぎを刺されたから、って言うこと以上に、わたしの心の中がぐちゃぐちゃで、若葉さんと面と向かって何を話したらいいかわからなかったから。
それでも考えることと言えば若葉さんと、これまでわたしの作り上げてきたキャラのことばかり。だから学校でも家でも、他のことは上の空になってしまった。グループのみんなはそんなわたしのことを心配してくれたけれど、今は大事な友達の言葉すら耳に入ってこなかった。
若葉さんが転校してきた翌週の放課後。
「髪、染め直そうかな」
ふとそう思ってわたしは立ち寄ったドラッグストアで黒い染料を手に取る。中学の時から少しだけ明るく染め続けてきた髪色。それはいつの間にか「石渡萌香」のパーソナリティを構成する一要素になっていた。でも、これでわたしが大好きなあの人を傷つけてしまうくらいなら……。
そう思って買い物かごに染料を入れようとした時だった。
染料を取ったわたしの手を誰かが掴んでくる。見るとそこには泣きそうな表情をした南ちゃんがいてわたしは思わず大声を出しそうになる。
「南ちゃん……どうしてこんなところに? 」
「そんなの、萌香ちゃんのことが心配だったからに決まってるじゃん! 土岐さんが転校してきた翌日からずっと萌香ちゃんがおかしくって、なんだったら自殺しちゃうんじゃないかって心配だったからずっと後をつけてたんだよ」
「わたし、そんなにおかしかった? でも安心して。今すぐ死ぬつもりはないから」
南ちゃんを安心させようと笑おうとして見たけど、筋肉が死んだように動かなくて、うまく笑えなかった。
「死なないんだとしても! じゃあ今手に握ってるのはなに? 」
「なにって……見ればわかるでしょ、地毛に近い色に染め直そうと思って」
「どうして茶髪を辞めちゃうの! 茶髪の萌香ちゃん、すっごく可愛いのに」
「そう言ってくれるなんて南ちゃんはやっぱり優しいね。でも……この髪色で、わたしのキャラで誰かを傷つけちゃうぐらいなら、戻せるところから戻した方がいいかな、って思って」
わたしの返事に南ちゃんは、はっとしたような表情になって、それから
「ちょっと私に付き合って! 」
とわたしの手を無理やり掴んでドラッグストアの外へと連れ出した。
それから数分後。わたしと南ちゃんは近くのカフェで向き合って座っていた。
「土岐さんと何があったか話してよ。私、萌香ちゃんとは相手が苦しくてどうしようもない時に重荷を一緒に背負ってあげたりするような「親友」だと思ってるから。って、言っても私なんかじゃ話を聞いてあげるくらいで、相談にのることすらできないかもしれないけど……それでも、「親友」が一人で苦しんでるのをただ見てるのはイヤなの! だから、今の萌香ちゃんの悩んでることを私にぶちまけて! 私にも、萌香ちゃんの背負ってる思いを一緒に背負わせてよ」
「重荷を一緒に背負ってあげたりするのが、親友……」
南ちゃんの台詞を反復する。
そこでわたしは気づく。そっか、そうだったんだ。別に一人で悩む必要なんてなかったんだ。なぜなら、わたしにはこんな素敵な親友がいたんだから。
そう思うと涙が出てしまう。そんなわたしに対して南ちゃんは
「ご、ごめん! 私なんかが出しゃばりすぎちゃったよね……」
と今更になっておろおろし出す。そんな南ちゃんが南ちゃんらしくって、わたしはつい笑っちゃう。
「うんうん、そういうわけじゃないの。南ちゃんがそう言ってくれて凄く嬉しくって」
目元を拭いながらわたしは言う。
「ちょっと長くなっちゃうかもしれないけど、わたしと、そして若葉さんの話を聞いてくれる? 」
「もちろん」
南ちゃんがうなづいてくれたのを確かめてから、わたしはこれまで二人の母親にも言ってこなかったわたしがイメチェンデビューするきっかけになった物語を語りだした。
「わたしがギャル――になれてるかはわからないけど、まあこのキャラになったのは、結局若葉さんに振り向いて欲しかったからなんだよね。でも、今の若葉さんは若葉さんが女性恐怖症になるきっかけになったギャルっぽい女の子を怖がってる。わたしが存在するだけで、今の若葉さんを傷つけちゃう。だとしたらわたし、何のために今の自分になったのかわからなくなっちゃって。誰の得にもならないどころか、誰かを傷つけるくらいだったら、元の陰キャに戻った方がいいのかな、って思っちゃって」
「――萌香ちゃんはなんで私と喜多ちゃんが付き合い始めたか知ってる? 」
不意に全く関係なさそうなことを聞いて来る南ちゃん。
「? いや、そのことは特に南ちゃんも喜多も話してくれなかったから知らないと思うけど……。わたし達五人が同じグループになって、喜多がわたしに告白してきたのをわたしが振って、それから暫くして気づいたら二人が付き合っていた……みたいな? 」
質問の意図をとれないながらもわたしが回答をまとめると南ちゃんは満足そうにうなづく。
「そうだね、あえて萌香ちゃんには言ってなかったんだ。私と喜多を結びつけたのはある意味萌香ちゃんだから。――私達、同じ人を好きになったことがきっかけで付き合い始めたんだ。お互いにその人に未練はあるから、今でも私達が付き合ってるのかどうか怪しいけどね。でも、たまにどっちかの家にお泊りして夜が明けるまで好きな人の話を心行くまで語り合う時間はとっても楽しいんだ」
うっとりとした表情で語る南ちゃん。いつもなら今の南ちゃんの表情可愛いな、と幸せな気持ちになるところだけれど、話の内容が話の内容だけにそうしている余裕がない。
「同じ人を好きになったって……まさか、南ちゃんもわたしのことが、その……好き、ってこと? 」
わたしの言葉に南ちゃんは少し恥ずかしそうに目を伏せながらもうなづく。
「そんな、一言も言ってくれなかったじゃん」
「告白したところで初恋相手第一の萌香ちゃんが私の思いを断ることは知ってたから。同じグループに居ればさんざんそのことはわかるしね。だから、それがわかっていながらちゃんと思いを言葉にできた喜多ちゃんのことは尊敬はしてる。それは多分、恋愛感情に発展することはないけどね」
小さく舌を出す南ちゃん。
「……わたしのどんなところを好きになったのかとかって、聞いてもいい? 」
「あはは、萌香ちゃんは厳しいなぁ。付き合うつもりもないくせにそんなことを言わせるなんて」
南ちゃんはおどけた調子でそんなことを言う。でも次の瞬間。居住まいを正してわたしのことをまっすぐ見てくる。
「いつでも明るい萌香ちゃんが好き。
向日葵みたいな笑顔を振りまいてくれる萌香ちゃんが好き。
誰とでも仲良くなろうとする萌香ちゃんが好き。
明らかに陽キャなのに陰キャにも優しい萌香ちゃんが好き。
控えめにおしゃれしてる萌香ちゃんが好き。
萌香ちゃんの髪色が好き。萌香ちゃんの目が好き。
――容姿・物腰・性格・態度・オーラ。その一つ一つが今の萌香ちゃんを構成している大事な要素で、その一つ一つも、総体が大好き。そんな、全ての構成要素を萌香ちゃんオンリーの配分で持っているのが他ならない今の萌香ちゃんで、そんな萌香ちゃんに救われ、恋に落ちた人だっているんだよ」
そこで南ちゃんはなぜか小さく笑う。
「私、中学の頃までは陰キャだったんだよ。でも高校になってからイメチェンデビューしたいと思って、でもスタートダッシュで躓いちゃって。そんな時、陰キャだとか関係なくグループに誘ってくれたのが萌香ちゃんだったんだ。きらきらしていて、でもどこか庶民的って言うか、誰にでも手を差し伸べてくれる萌香ちゃん。それが元々誰をモデルにしていたかだとか、誰に好かれるために作ったキャラだとかは知らないし、どうでもいい。そんな萌香ちゃんだからこそ、私は救われたし、好きになったの。だから、もし我が儘を言わせてもらえるなら――萌香ちゃんが築き上げた今の「石渡萌香」ちゃんを一時の思い付きなんかで崩してほしくない。きっとそう思っているのは、私だけじゃないはず」
最初は自分のために始めたイメージチェンジ。もともとはある人を目標に作り始めた自分のキャラクター。それは知らず知らずのうちに「石渡萌香」のオリジナルとなって、誰かを傷つけるだけじゃなくて、誰かに何かを与えてもいたんだ。
「……萌香ちゃんは、今の萌香ちゃんのこと、嫌い? 」
南ちゃんの質問に、わたしはくびをぶるんぶるんと横に振る。
「だったら、無理に変わろうとしないで。それに――今の萌香ちゃんは土岐さんを傷つけた楓さんとは全然違う。萌香ちゃんなら――いや、萌香ちゃんだからこそ、今の土岐さんに寄り添えると私は思うな」
「それってどういうこと……? 」
わたしが尋ねると南ちゃんは痛ましそうな表情をして目を伏せる。
「萌香ちゃんは知ってる? ここ最近、土岐さんは毎日のように学園の子から告白を受けて、その度に近づきすぎて保健室送りになってること。黒髪美人であれだけ大っぴらに恋人募集宣言したら女の子が群がるのもわかるし。萌香ちゃんの話してくれたことを元に考えると土岐さんも土岐さんで女性恐怖症を克服しようと必死なんだろうし。けれど……このままじゃ土岐さんの体がもたないよ」
「南ちゃんは、わたしにどうしろって言うの……? 」
縋るような目で南ちゃんを見つめると、南ちゃんは小さく笑うばかり。
「それは、萌香ちゃんが一番よく知ってるんじゃない? 」
「……そっか、そうだよね」
そう言うが早いか、私は会計用の千円札をテーブルに置いて席を立つ。そして学校に向かって駆け出そうとする。と、その前に。
「――南ちゃんはわたしにこんな話してくれて良かったの? わたしがこんなこと言うのも烏滸がましいけど……南ちゃん、わたしのことが好きなんだよね? もしかしたらわたしが若葉さんにとられちゃうかもしれないんだよ? 」
わたしがそう尋ねると南さんはいたずらが見つかった男の子のような表情になる。
「……まあね。萌香ちゃんが傷ついたところで私が優しくしてあげたら落とせるんじゃないか、とか、そこまで行かなくてもこれで萌香ちゃんが初恋相手への思いを断ち切れるならこれからの萌香ちゃん争奪レースを優位に進められるんじゃないか、って思わなかったわけじゃないけど」
いや、思ったんかい!
「でも、私が最初に恋に落ちた萌香ちゃんには、初恋相手に一途な萌香ちゃんも含まれていたから」
そう言って笑う南ちゃんの表情は笑っているのにどこか憂いを帯びていた気がした。うーん、その表情、反則ぅ。
「ま、どう足掻いても土岐さんからお断りされたら、その時は私が彼女になって慰めてあげるから。だから――行ってらっしゃい」
「うんっ! 」
そうやってわたしは大親友に背中を押してもらって、西日に照らされる通学路を高校へと急いだ。
若葉さんがもう下校していることを考慮しないで高校へと走り出しちゃったけれど、若葉さんは運よくまだ保健室にいた。西宮先生と会話している声が廊下からも聞こえる。
「私、また失敗しちゃった」
「そんなに焦る必要はないよ」
「でも、せっかく告白してくれた女の子にも悪いことしちゃったし……私、どこまでもこのままなのかなぁ」
「……」
縋るような若葉さんの言葉に西宮先生が絶句したまさにそのタイミングで。
わたしは勢いよく保健室の扉を開ける。すると当然、若葉さんと西宮先生の視線が一斉にわたしに集まる。
わたしを視認した若葉さんは震えだしこそしなかったけれど怯えたような目になる。それに対して西宮先生の視線には少し怒りのようなものが見える。
それを気にしないようにしつつ、わたしは保健室に入らないまま声を張り上げる。
「土岐若葉さん……うんうん、土岐若葉ちゃん。わたしと付き合ってください! 」
目を丸くする若葉ちゃん。対する西宮先生の視線は「こいつ、何言ってるんだ」と言っているみたいで痛い……。
でもここで負けるわけには行かない。わたしは若葉ちゃんから距離を保ったまま言葉を続ける。
「まあ付き合うって言っても、それは形だけで。若葉ちゃんが恋人募集宣言をしちゃった以上、形だけでも彼女を作らないと言い寄ってくる女の子が途切れないだろうから。もちろん若葉ちゃんが女性恐怖症だってことも、特にわたしみたいなタイプが苦手なのは知ってる。だから、なるべく若葉ちゃんの負担にならないようにちゃんと距離はとるし、スキンシップにならないように細心の注意を払う。若葉ちゃんのボーダーラインは理解するように心がける。だからそうだね、恋人っていうのは風よけみたいなもので……本当は、また若葉ちゃんの友達に戻りたいの。わたしと恋人とは名ばかりの友達になって、それで誰か若葉ちゃんが女の子を愛せるようになったら、その時は恋人関係を解消して名実ともに友達になればいい。――それじゃ、ダメかな? 」
緊張して、ついまくしたてるようになっちゃった。でも、これが今のわたしの本音。
大好きな人が女の子を怖がっている現状で彼女になろうなんて言うことはわたしにはできない。でも、大好きな人が彼女を作ろうと無理をしてその度に傷ついているのに見て見ぬふりをしているのはもっとできない。
だからわたしが選んだのは南ちゃんがしてくれた「友達」というポジション。「友達」というポジションでわたしは大好きな人を支えたい。
もちろん若葉ちゃんがわたしみたいなギャルっぽい女の子が苦手なことはわかってる。それでも、だからと言って何もしないのは「石渡萌香」じゃない。こんな提案受け入れられないかもしれない、それでも当たって砕けるのが今の「石渡萌香」なんだ。
「石渡さん、前に若葉にはなるべく近づかないでくれってたの……」
西宮先生が言いかけた言葉を飲み込む。見ると若葉ちゃんが西宮先生のことを手で制していた。その手は少しだけ震えていた。
「……なんで私にそこまでしてくれるんですか? 」
「それは……」
小学校五年生の時に自分も手を差し伸べてくれたから? うんうん、違う。
「それは傷つくあなたのことを放っておけないから。あなたにちゃんと幸せになって欲しいから」
人を好きになる、って結局はそう言うことだと思う。好きな人に幸せになって欲しい。それが一番。
「……私、実は楓さんと出会う前後の記憶が曖昧で、あなたのことも覚えてなくて……」
「そんなの関係ないよ」
「女性恐怖症でいろいろ迷惑かけちゃうかも……」
「それも覚悟の上だよ。だから――若葉ちゃんがどうしたいかを聞かせてくれると嬉しいな」
暫く流れる沈黙。不意に若葉ちゃんの頬に一筋の涙が伝う。
「私、楓さんの件で女の子のことが怖くなって、でも、それと同時にずっと女の子と仲良くしたかったんです。だから空回りもたくさんしちゃって。でも……なってくれるなら、本当は私だって「友達」になりたいです」
ようやく聞くことができた、若葉ちゃんの本心。それを聞けて、わたしの顔はつい緩んでしまう。
「そっか。じゃあ、もうなってるよ――だって、わたし達は小学生の時から友達だったんだから。また、友達になろ」
一方的な失恋から五年近くの歳月を経た今日。
わたし、石渡萌香は初恋相手と、また友達から再出発することになりました。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ねぇねぇ、二年の石渡先輩、ついに付き合い始めたんだってよ」
「そうなんだ。で、相手は? 」
「黒髪ロングの綺麗な人。でも、女の子が苦手らしくて、ちょっと訳アリっぽい」
「へぇっ。でも、誰にでも元気を振りまいてる石渡先輩らしいって言えば石渡先輩らしいよね」
「確かに~」
「見て! 噂をすれば……あれが石渡先輩とその彼女さん」
「なんか二人の距離離れすぎてない? 」
「でも二人とも美人でお似合いのカップルだね。――なにより幸せそう! 」
(『初恋相手の女の子に二回失恋したわたしが、今度は一番の親友を目指すお話』 fin)
初恋相手の女の子に二回失恋したわたしが、今度は一番の親友を目指すお話 @Shirayuki2021
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