第39話 やはりエロ陰キャは、真のイケメンに敵わない……
指先で、そっと、ちょっとだけ、触れた。
「んっ……」
……感想は。
柔らかい。
育実ちゃんほど、ボリュームはないけど。
すごく、柔らかい。
ああ、そうか。
やっぱり、女の子のおっぱいは、形や大きさの違いこそあれど。
みんな、どれも尊いんだ。
「……ど、どうかしら?」
「……素晴らしいです」
俺は思わず敬語になり、何なら涙を流しそうな勢いだ。
「う、嬉しい。だったら、もっと……」
「……いや、松林さん」
「えっ?」
「これ以上、俺は……触れないよ」
「ど、どうして? 私の胸、ちゃんと気持ち良いんでしょ?」
「うん、でも、やっぱりコレは……君のことを、本当に大切にしてくれる男に、揉ませるべきだよ」
「峰くん……」
「……なんて、ごめん。偉そうなこと言っちゃって」
「ううん、良いの」
「ていうか、俺ばかり触っておいて、何かごめん」
「それなら……これが最初で最後ってことで……1回だけ、ツンとしても良い?」
「えっと、俺の◯首ですか?」
「ううん……この子」
松林さんの視線は、下に向かっている。
「えっ? あっ……」
「ダメ、かな?」
「……ど、どうぞ」
まあ、これくらいなら許されるだろうと。
俺は承諾した。
「で、では……失礼します」
松林さんも、緊張で敬語になりつつ……
ツンッ。
「……おふっ」
あまり、多くは語りたくない。
ただ、何ていうか……命よありがとう。
「……ありがとう、峰くん。おかげで、何か吹っ切れたわ」
「えっ、本当に? これだけで?」
「うん、本当よ」
松林さんの笑顔には、屈託がない。
どうやら、嘘はついていないようだ。
そして、ベッドから降りる。
「さてと……じゃあ、ちょっとお隣の部屋にお邪魔しましょうか」
「えっ? いや、でも……向こうは絶賛、盛り上がり中かもしれないし……」
自分で言っておきながら、ズーンとへこむ。
今晩は、キスと本番以外はオーケー。
つまり、桐生のやつは、育実ちゃんのあの豊満なおっぱいを、好きなだけ……
「大丈夫よ」
「へっ?」
笑顔の松林さんに手を引かれて、俺たちはタオル姿のまま、廊下に出て、すぐとなりの部屋の前に立つ。
松林さんは、ノックをしてから、持っていたカードキーでドアを開ける。
そんな、まさか、NTR現場に乗り込むなんて!?
「うわーん、育実ちゃん……あれっ?」
そこには、俺が想像する光景は広がっていなかった。
育実ちゃんと桐生は、何やらお互いに得心した表情で、頷き合っていた。
「……やっぱりね」
「えっ?」
「祐介くん、育実ちゃんの胸に……触れなかったようね」
「ああ、うん」
「マ、マジでか……? 今晩は、彼氏公認で、そのおっぱいを揉みまくりなんだぞ?」
「まあ、そうだけど……確かに、間近で見る俵田さんの胸はすごく魅力的だけど……でも、何か気が進まなくてね」
「お前……まさか、イ◯ポじゃないよな?」
「こら、よっくん」
「ごめんなさい」
「はは、良いよ」
「あ、ていうか、桐生すまん……俺と松林さんは……」
「まさか、がっつりやり合ったの?」
育実ちゃんに、ぎろっと睨まれる。
「いや、そこまでしていないけど……お互いに、ツンッて一回だけ」
「ツンッ? よっくんは、かりんちゃんのお胸に触れて、かりんちゃんは?」
「……ごめんなさい、育実ちゃん。その……峰くんの、アレに」
「ふぅ~、まあ、そっか。そこくらいしか、魅力のない男だもんね」
「おい、デ……」
「あん?」
「……可愛いぽちゃ子ちゃん、すみません」
「ふん。けど、やっぱり桐生くんはイケメンだよ。この状況で、一切ノータッチだもん」
「た、確かに……イケメンって、すごいな」
やはり、俺みたいなエロ陰キャは、真のイケメンには敵わないのか……
なんて、こんな状況でも無駄に劣等感、敗北感を噛みしめる、情けない男だ……
「いや、そんな……俺だって、男だから……何だかんだ、ムラムラしちゃっているし」
「そっか、生殺しって、キツいもんな……」
「……だったら、今からここで……私とする?」
「花梨?」
「私も、中途半端でおあずけ食らって……ムラムラしているし」
「そ、そうか……」
「あ、ていうか、ベッド2つあるよね?」
「うん、まあ……」
「せっかくだし、夏の思い出に、ここで4人仲良く……シちゃいますか?」
「えっ、マジで?」
「もちろん、交換はなしで。ただ、お互いのカップルが、見せ合うの」
「な、何のえーぶいだよ……」
俺は目の前がクラッとする。
でも、まあ……
「……みんなで、シ◯りますか」
「いや、童貞のよっくんじゃあるまいし。ちゃんと、みんなで本番するんだけど?」
「う、うるせーよ。ていうか、童貞じゃねーし!」
「はいはい」
「うふふ」
「あはは」
そして、その後、俺たち4人は……
「「「「…………ハァ、ハァ、ハァ、ハァ」」」」
みんなして、大ハッスルしましたとさ。
『お前らがクラスのアイドルに注目している間に、実は可愛くて豊満ボディな子をこっそり攻略していたわwww』
完
お前らがクラスのアイドルに注目している間に、実は可愛くて豊満ボディな子をこっそり攻略していたわwww 三葉 空 @mitsuba_sora
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