第38話 いよいよ……

 ええ、そうよ。


 いくら、お互いに了承したかと言って。


 やはり、こんなバカげたこと、やめないと。


 この歪みは、後の亀裂、やがて破滅を引き起こす。


 男子は、やはり女子よりもシャワーの時間が短い。


 峰くんは、思ったよりも早く、シャワーから出て来た。


「ねえ、峰くん。やっぱり……」


 その時、私はハッとした。


 彼は、腰にタオルを巻いていた。


 そして、そのタオルが……何か、盛り上がっている。


 想像していたよりも、ずっと……大きく。


 彼、ブーメランパンツ、やめて良かったわ。


 もし、そんなの穿いたら……公然わいせつ罪で捕まっちゃう。


 それくらい……彼のアレ、すごいわ。


 祐介くんも、決して小さくない、むしろ平均よりは上だと思っていたけど……


 峰くんのそれは、さらに大きくて……


 あの動画で見るよりも、実物が凄すぎて……


「……あ、松林さん。何かな?」


「あ、いえ、その……」


 私は、先ほど言おうとした言葉を、飲み込んでしまう。


 私って……卑しい女。


 常識人ぶって、理性的に行動しようとしながら……


 結局は、女としての本能に……屈服してしまう。


 彼の立派なアレに……屈服してしまう。


 いえ、本番行為はなしなんだから、アレでどうこうする訳でも、される訳でもないけど。


 ただ、やはり、男の象徴シンボルだから……




      ◇




 俺のコレ、大丈夫かな?


 決して、小さくない。


 何なら、平均よりは上のサイズ。


 でも、峰のアレはもっと……デカい。


 あの動画でも見たし、海で着替える時も、直に見て。


 本当に、大きかった。


 俺の倍とまでは行かなくても、1.3〜1.5倍くらいはある。


 とにかく、デカい。


 だから、いつもそのご立派さまで貫かれている、俵田さん。


 果たして、俺のこれで満足するのか……って。


 今回、本番行為はナシだった。


 だから、気にすることはない……けど。


 やはり、男の象徴シンボルだから。


 小さいなと思われると、他の行為の感度にも影響が出るかもしれない。


 いや、そんなの関係ないか。


 今回はあくまでも、俵田さんを気持ち良くするのではなく。


 俺が、彼女に対する未練を吹っ切るために、してもらうのだから。


 ガチャリ、と出る。


「……お待たせ」


 タオルだけ巻いた状態で出ると、俵田さんがジッと見つめて来る。


 やはり、峰にくらべて、アレが小さいとガッカリされているのだろうか……


「……桐生くん、すごいね。腹筋が割れている」


「えっ? ああ、まあ……」


「よっくんなんて、アレ以外はガリヒョロだからさ~、ウケるよね~」


「ハハハ、そんな彼氏を悪く言うもんじゃないよ」


 俵田さんのギャグ発言で、自然と気持ちが落ち着いた。


「じゃあ、その……となり、座っても良いかな?」


 ベッドに腰掛ける、彼女に問いかける。


「……うん、お手柔らかに」




      ◇




 育実ちゃんと、大違いだ。


 当たり前だし、分かり切っていたことだけど。


 松林さんのカラダは、本当に女子の理想体型。


 キュッと腰がクビれつつも、ちゃんとバストもあって。


 お尻もキュッと引き締まっていて……


「……イッツァ、パーフェクト」


 あまりの衝撃に、思わず英語になってしまう(カタコトだけど)。


「そ、そんなことないわよ」


「それに比べて、俺は……」


 改めて、自分のヒョロガリさを確認し、ガクリとする。


 けど、まあこれで良いのかもしれない。


 このダメさ加減を見て、松林さんの俺に対する幻想も打ち砕かれるかもしれないし。


「ど、どうかな? やっぱり、桐生に比べると、貧相なカラダでしょ?」


 俺は気まずさを誤魔化すように、笑いながら言う。


「……そんなことないわ。何ていうか、可愛いし」


「か、可愛い……」


「けど、一部は……あまり可愛くないけど」


「あっ……」


 指摘されて、自分のアレがさっきから立ちっぱなしだったことに気が付く。


 緊張感で、失念していた……


「……いや、ハハ」


「安心してちょうだい。今回、それには触れないから」


「ど、どうも……」


 と、言いつつも、松林さんは、ジッと俺のそれを見つめている。


「……すごい」


「そ、そんな見ないでくれ……」


「ご、ごめんなさい……」


 何か、日常的に男子から見るハラをされる、女子の気持ちが分かったよ。


 俺も、今度から育実ちゃんのドスケベボディをチラチラ見るのは少し自重しよう。


「えっと、じゃあ……キスと本番は無しってことだから……」


「うん、だから……」


 松林さんは、スルスル、と巻いていたタオルを解く。


 白くきれいな体のラインが、より露わになった。


 やっぱり、すごいパーフェクトボディだ。


 正直、俺的にはあまりそそらないと思ったけど。


 やっぱり、人って、美しいモノに目が無いのかもしれない。


 俺はちゃんと育実ちゃんが好き、なんだけど……


 今はどうしても、松林さんの完璧なカラダに、見惚れてしまう。


「ごめんなさい、育実ちゃんほど、魅力的なカラダじゃなくて……」


「いやいや、そんな……すごくキレイだよ」


「て、照れちゃうわ……」


 ……しかも、可愛いと来たよ。


 参ったな、このままうっかり、本気で浮気しちゃうかも。


 いや、嘘だけど……


 ていうか、確かに、育実ちゃんほど豊かなバストじゃないけど。


 決して貧乳じゃない、恐らくDカップぐらい。


 先端も非常にきれいだし……


「……じゃ、じゃあ、ちょっとだけ……触れます」


「はい……どうぞ」


 エッチはもう、育実ちゃんと散々しまくって、慣れているはずなのに。


 今さら、この程度の行為で、指先が震えた。




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