ボート
山中湖だろうか?会社の同僚と二人
小さな手漕ぎボートに乗っている。
同僚はウサギの着ぐるみ姿だ。
僕もクマの着ぐるみを着ている。
何故着ぐるみを着ているのかはかは
分からない。会社の宴会で仮装芸でも
やった後なのかもしれない。
僕たちは木製のオールを使い
しばらく漕いでいたが疲れてしまい
漕ぐ手を休め、辺りを見回した。
僕らの他に人はいないようだ。
湖のまわりには、深緑の広葉樹が
パノラマのように広がっている。
僕は被っていたクマの着ぐるみの
頭部を脱いだ。ひんやりとした風が、
少し汗ばんだ額に当たって気持ちがいい。
僕たちは寝っ転がって空を見上げた。
晴れた初冬の澄み切った雲ひとつない
青い空が僕の視界を覆いつくしている。
眠ってしまったのだろうか。
はっと気づくと、いつの間にかすっかり
日が落ち辺りは暗くなっている。
遠くでホーホーとフクロウが鳴く声が
聞こえ、静まり返った湖には
僕らのボートを静かに揺らすチャプチャプ
という音が響いている。
夜空には明るく大きな満月が浮かんでいた。
僕らはボートの上で寝っ転がり
金色に輝く月を見ていると突然、
2匹のイルカが湖面からザッパーンと
水しぶきを上げ勢いよくジャンプした。
そのイルカのジャンプは思ったより高く、
そのままぐんぐんと空高く上がってゆく。
そして2匹のシルエットは、ちょうど
満月の中にぴたりと納まるように制止した。
よく見るとイルカではなく白黒模様の
シャチだった。月の模様はウサギの
餅つきの姿ではなく、実はシャチの
体の白黒の模様だったのかもしれないと思った。
すると突然、ザブン!ザブン!とう音がした。
そして、ボートがゆっくりと進み始めている。
なんだろうと前方を見てみると、屈強な外国人
サーファーが僕たちのボートを、クロールで
泳ぎながら引っ張っていた。
その男が息継のため、顔を水面に出す度に
口元から真っ白い歯が見え、それは月明かりに
反射してギラリ、ギラリと怪しく光っている。
小麦色に日焼けしたその金髪の外人は何故か
ずっと満面の笑みをたたえながら泳いでいた。
ボートはぐんぐんスピードを上げ、
月明りの光の帯が湖面に映って金色に輝く
そのど真ん中を切り裂くように
湖の中をすごい速度で進んでいった。
夢日記。旅日記。 柴崎健太郎 @nnppd
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