地下墓地探索。聖魔砲大活躍!
「…………[充填]」
迫りくる不死者を見据えながら、【聖魔砲】のチャージを始める。
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:アーマーデビル
LV:20
状態:平常
◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:スケルトンナイト
LV:20
状態:平常
◆◆◆◆◆◆◆◆
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:シャーマンゾンビ
LV:23
状態:平常
◆◆◆◆◆◆◆◆
ひとりでに動く全身鎧に、立派な剣と盾で武装した骨の剣士を前衛に置いて。
後衛には、不気味な仮面を身に着けた呪術師。
うーん。なかなか本格的だね。
カタカタ、ガタガタと音を立てて迫(せま)ってくる。
後ろのシャーマンは、何らかの詠唱を始めた。
それなりに質も整った数の群れが、私に襲いかかろうと──
「それじゃあ遅いかなぁ。 【発射】」
かざした手のひらから、強烈な威力の光が溢れ出し、通路上の敵を飲み込んでいく。
過ぎ去った後には、何も残らない。
威力2000を超える、巨大な奔流を生き残れるほどの強敵は居なかったか。
まあ、こんな序盤から居ても困るわけだけれど。
よーし。とりあえず序盤から躓(つまず)くってことはなさそうで一安心。
ポーションを使って消耗を回復しておく。
『相変わらずエグいなぁw』
『瞬殺w』
『一網打尽の良い例を観た』
『ユキ相手に一方向から攻めるからそうなる』
『数で攻めるなら挟撃しなきゃ』
『なお対処しきれないとなった瞬間GAMANで全体攻撃してくる模様』
『どうやって倒すんだよwww』
「えっへっへ簡単にはやられないのだよ私は」
ライフで受けて、ライフで殴るのこそが、私のプレイスタイル。
最大の敵は、私の許容量を超えるほどの超火力で攻撃してくる存在だね。
敵が一時的に居なくなった通路を、ゆっくりと進む。
しばらく進んでいると、またゾロゾロと不死者の群れが姿を表した。
変わらず前方を塞いでくる姿に、思わず苦笑い。
「それじゃあ変わんないよー」
しっかりとチャージして、放射。
それだけで、前方を塞ぐ輩はすべてなぎ倒されていく。
なんというか、わざわざ通路という形で方向を絞って出てきてくれるおかげで非常にやりやすい。
相手が不死者というのもあるし、本当に相性が良いって感じだね。
意気揚々と、奥へ奥へと進んでいく。
途中、二度階段を降りる機会があったので、今は地下三階といったところか。
出てくる敵のラインナップは変わっていないものの、レベルは30に届いている。
相当厳しそうなものだが……結局、通路の前方にお行儀よく登場することには変わらないため、3000ほどチャージした魔力砲……生命砲? によって全て薙ぎ払っていった。
31だったレベルが33に上がったことを考えると、なかなか美味しい探索と言える……のかな。
正直、効率とかはあんまり分かんないけど、割と楽に稼げているのは間違いない。
それと、道行くアンデッドどもを処理すれば処理するほど、少しずつ空気が軽くなっていっている気がするんだ。
やっぱり、溜まりに溜まって強化された怨念みたいなものが、空気の重さの原因になっているのかな。
順調な進行のまま、地下三階を探索。
最深部だろうか。一本道だった通路が、大きな部屋に繋がった。
入る前に、通路から中の様子を窺う。
中央にボスとかがいるって感じではなさそうだけど……
『奥になんかおるね』
「え? あ、ほんとだ。なんだろうあれ」
不意に流れてきたコメントに、部屋の奥を注視する。
大きな図体をした鎧の像が、横並びに2つ。そいつらが立ちはだかる先には……扉。
両開きの、見上げるほどに大きな扉。奴らは、最深部を護る最後の番人といったところだろうか。
ぎりぎりこちらの認識範囲だったのか、注目していると視界の端にウィンドウが浮かび上がった。
◆◆◆◆◆◆◆◆
名前:アーマージェネラル
LV:40
状態:待機
◆◆◆◆◆◆◆◆
「強っ!?」
『えぐい』
『門番ですかね』
『これはきつそう』
『中ボスかな?』
『倒さな進めんやつやん』
「うええ……やっぱりそうだよねぇ。レベル40の大鎧二体……」
正直、けっこう厳しい気がする。
中ボスって感じだとすれば、限界近くまでチャージして撃てば多分倒せる。問題は、そのまえに喰らうダメージのせいで威力が足りなそうだということ。
GAMANに掛けるという手もあるけど、強敵2体いると【解放】の隙すら作れない可能性もある。
うーん……勝率って意味では充分にある。けど、確実性は無い、か。
この地下墓地で敗けちゃうとどうなるかわからない以上、最深部に辿り着く前に死亡の危険は極力減らしたい。
「ん~~~。イベントがどういう扱いになるかわかんないから、リスクは極限まで減らしたいんだけど。いい方法無いかなぁ」
『どうやろ』
『きつそうw』
『二体が真横に並んでいる以上、釣りだすのも難しそうだし』
『普通にリンクして二体とも反応しそうだよね』
「釣る? ああ、一人だけひきつけるってこと?」
『そそ。遠距離から攻撃して、一体だけヘイトを買う』
『PT戦とかではよくある手法だね。挑発系のスキルは射程内なら敵側無差別対象になっちゃうから』
『一体二体だけ狙って引きつけるために、タンクも多少の遠距離攻撃を求められることあるよね』
『普通のパーティならあるあるだなw』
『ユキは普通じゃない模様』
『そもそもソロなんだよなぁ』
「うーん。でもまぁ、今の所はそれが一番可能性ある? 一体だけ釣り出せる可能性は低いかもしれないけど」
もしうまく行けば、一体ずつ相手できるかもしれない。そうなれば、まず間違いなく勝てるだろう。
ジャイアントスパイダーみたいにえげつない手法があれば別だけど……
『あれ?そもそも、こっから撃てるのでは?』
『え』
『あw』
『射程次第?』
『観てる感じでは届きそうね』
『今のところは反応する気配ないもんな』
え。あー! そういうことか! 確かに、今覗き込んでいる限りでは敵の反応はない。つまり、向こうさんからすれば探知範囲外ってわけだ。
この距離だと、門のところまで【聖魔砲】は届くはず。
あれ? いけちゃう?
「天才かも。 今すぐ試してみるね」
部屋に入る直前のところに立ったまま、充填を開始。
固唾を呑んで見守る訳だが……よし、反応はしないね!
「行けそうっ!」
部屋に入らない限りは起動しないのか、私が緊張してチャージしている間、全く動く気配はない。
2,3倍ほどに思える100秒が経過して、わたしのHPが残り1で停止する。
『溜まった』
『行け!』
『キターー!』
『撃てぇ!!』
「よっしゃ行くよ-! てええぇぇい!!」
両手を突き出して、【発射】
正真正銘、全力の一撃。
放たれたビームは、間違いなく今まで見た中で一番の威力。
唐突に迫りくる圧力。大鎧の目が鈍く光るが──もう遅い。
暴力としか言いようのない光線が、立ち尽くす巨体を呑み込んだ。
『只今の戦闘経験により、レベルが35に上がりました』
『只今の戦闘経験により、【バックスタブ】を修得しました』
『只今の戦闘経験により、【最後の力】を修得しました』
「よっし! 無事勝った! みんなのおかげだよーー!」
『おめ』
『888』
『ほんとえげつない威力w』
『ロマン砲だなぁ』
『ライフの暴力』
「ライフは偉大なんですよー。
久しぶりにスキルもらえたから、確認するね」
◆◆◆◆◆◆◆◆
技能:バックスタブ
効果:自動発動。 対象が認識していない攻撃をヒットさせたとき、ダメージが5%上昇する。
条件:不意打ちによるダメージを一定以上与える
◆◆◆◆◆◆◆◆
おお、これは結構有用じゃない?
……って思ったけど、よく考えたら不意打ち出来る機会なんてめったに無いかも。
まあ、発動すればラッキー程度でいいかな。
えっと、もう一つは……
◆◆◆◆◆◆◆◆
技能:最後の力
効果:HPが1になった際に自動的に発動。自身のSTRとINTを100%上昇させる。発動は1日に1回。
◆◆◆◆◆◆◆◆
いや、うん。 正直もう慣れてきたよ!!
『ライフで受けてライフで殴る』これぞ私の必勝法 こまるん @komarukirara
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。『ライフで受けてライフで殴る』これぞ私の必勝法の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます