泳いだトイレットペーパー

鮭さん

第1話

 トイレットペーパーがいて、海を泳いでいましたがあっという間に溶けてしまいました。しかしトイレットペーパーの芯は溶けていませんでした。芯は頑張って海を泳いでいました。それをダイバーが発見しました。


「あ、あれは、トイレットペーパーの芯だ。」


 と、ダイバーは言いました。トイレットペーパーの芯は、私はトイレットペーパーの芯でしかないのか.....と思いました。確かにトイレットペーパーの芯は、トイレットペーパーが周りに巻いてある時はトイレットペーパーの芯です。それは仕方ないのですが、トイレットペーパーが周りから無くなっても私はトイレットペーパーの芯なのですか。トイレットペーパーがなくてもトイレットペーパーの芯から逃れられないのですか。どこまで行っても私はトイレットペーパーの芯なのですか。トイレットペーパーの芯は、アイデンティティクライシスに陥っていたのでした。そこに、背骨(人間の芯)が泳いできました。


「人間の芯さんこんにちは。」


「こんにちは。」


「どうして泳いでいるのかな?」


「ほねほね。」


 どうやらその背骨(人間の芯)の持ち主がサメに襲われてしまったようで背骨(人間の芯)以外の部分が溶けてしまったようなのでした。そこで、背骨(人間の芯)のみで泳いでいたようです。


「僕と同じだ!!」


 トイレットペーパーの芯はときめきました。そこにダイバーがきました。


「あっ!!背骨だ!!」


 と言いました。あいつも....人間の芯なのに....。俺は...。背骨には背骨という名前があるというのに.....。俺はトイレットペーパーの芯だ.....。トイレットペーパーは悔しくなり、背骨目指して一生懸命泳ぎました。あいつを捕まえるぞ。


 シュピピピピピピピ!!


「なんだなんだー!!」


 背骨(人間の芯)は怖くなり、逃げました。


 ドュルルルルルー!!


 シュピピピピピピピー!!


 ドュルルルルルー!!


 シュピピピピピピピー!!


 キョペー!!


 背骨は遂にトイレットペーパーの芯に捉えられトイレットペーパーの芯の内部に治りました。トイレットペーパーの芯は得意げにダイバーに聞きました。背骨を指して言いました。


「これは何?」


「トイレットペーパーの芯の芯だ!!」


 と、ダイバーは言いました。トイレットペーパーの芯はなんだか嬉しくなりました。彼はまだトイレットペーパーの芯のままなのに。

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