第6話 悪戯
「可哀想だなあ」
僕は、思わずそう呟いた。
だって、本当に可哀想だったのだ。
人間の生と死なんて毎日数えるのが面倒なほど目にしているけど、今僕が何気なく目を向けた人は、本当に救いがないように思えたから。
彼女は、幼少期から両親からの愛を満足に受けられず、そのせいか、両親だけでなく他人からも必要とされるということが無かった。見ると、救いがあれば変わっていた、という節目が何個もあった。七歳の時、十八歳の時、二十八歳の時。死ぬ瞬間も、――死因はただの交通事故だけど――誰かからの救いを求めていた。
「最後に彼女には救いをあげたいな」
そう思った僕は、彼女に救いをあげることにした。
「自分のことは、多分自分が一番分かってるよね」
傷を癒す 淡雪 @awayuki0_0
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