御仏のおしえも音楽もまったく無知なのです。
したがって適切なご案内をさせていただくことが叶いません。
ではレビューするなよ、となりますね。ごもっともです。
ですが。
逆なのです。
本作は、そんな無知蒙昧なわたしを、作品世界にごんと引き摺り込むちからをもっているのです。
たしかに本作、しらずしらずに作者さまの丁寧なご説明により、仏教関連の知識も、音楽の素養も身についてしまう作品です。それがゆえに、無知な状態で拝読をはじめてもそれなりについていけてしまうし、また、あっ、もうすこし勉強したいなあっていう状態においていただける。それが魅力なのか、ということになる。
しかし。そうじゃない。ちがう。ちがうのです。
聳え立つようにきりたったキャラばかりの登場人物、わちゃわちゃと楽しく日常がすすみ、じれじれもえもえきゅんもあり、ああいいなあってなってるところで、ずどん。
わたしは音楽の素養、ゼロです。ギターにぎったことはあるよ。でも、おんがくの成績はひどいし譜もよめない。
でもね、本作が示そうとしてるのは、ロック。
そのロックの、脊髄は、わたしは、たぶん感じたことがある。
ずどんと、たたきつけられるやつ。
ずどん。
ほら、そこでこのレビューよんでるあなた。
打たれてきなさい。
ずどん、と。