第5話 どうなったかと言うと…
あれから家族会議を重ねた僕は、ちゃんと計画を実行。暴動のXデーを前に家名を捨て冒険者となり、国境の父さんの友人が辺境伯として治める領から隣国に亡命を果たした。
最低辺からの出発にはなるが、父さんと騎士たちのスパルタ教育のお陰で、何とか剣士として格好は付いている。
隣国へ移動の最中、ギリギリまで情報収集のために王都に残っていた元使用人たちと落合い、王都は内戦の戦場となり惨憺たる状態になったと聞いた。父さんと母さんは、親王派筆頭として最後まで王族(国王)を守って亡くなり、兄さんが所属している王宮魔導士軍も前線に立ち健闘するも最後は貴族たち率いる革命軍の捕虜となり、兄さんは親王派筆頭グランツ家の者と言うことで処刑されたと聞いた。
僕は最後の家族会議で、三人から気にせず振り返らず自由に生きろと言われていた。だから、今更戻って何かを何とかしようとは思わない。
父さんからは王から下賜された剣の前に使っていた剣を、母さんからは母さんの実家の紋章の入った首飾りと我が家の紋章の入った指輪、兄さんからは所謂マジックバックを、その中に沢山の魔法道具としばらくの生活費やなんかのお金をみんなが入れてくれて送り出された。
ルーツなら僕が覚えているし、剣も道具たちも冒険者として使っていく。三人がくれたもの全て、どれ一つも無駄にしないで自分の道を行くと決めている。
後からの情報だが、王族は全員が斬首、親王派貴族は絞首刑、旧軍は捕虜となり新軍に吸収されるか処刑されるかだったとの事。そして、のぞみ嬢は娘が処刑された原因を作った女としてリーンバルト家の企てにより、国家を転覆させる原因になった女とされ火焙りになったとの事。
国のあり方に関しては、リーンバルト家他力ある貴族たちがリーンバルト家当主を暫定国家元首として共和国を樹立させ、何とか民達をまとめ上げていくらしい。
一つの国が滅び、新たな国が出来上がり、僕の故郷は様変わりしてしまった。
ぬるっと生まれて、ひどい目にも合い、逃げたいと思ってはいたが、いざ故郷も実家も無くなってしまうと何とも悲しみが溢れて止まらない。
これからは、悲しみを日にち薬で薄れさせつつ、冒険者として何物にも縛られない自己責任の毎日を歩んでいくんだ。
元日本人高校生男子としては憧れの、異世界冒険ライフを自由自在に突き進むんだ。
いつか平和になった元王国で、古い剣を携え、古い首飾りと指輪をした冒険者が活躍しているかもしれない。
僕の本当の異世界転生と冒険は、今から始まる。
皇太子を隣で見ていたけど、色々無理だから見限ることにする あんとんぱんこ @anpontanko
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます