適切な遺書
結騎 了
#365日ショートショート 338
あまりの激務に絶望した男は、遺書を書こうと思い立った。
しかし、遺書くらいは清々しい気持ちで書きたい。なにせ人生最期のテキストなのだ。しかし、清々しさとはどうやったら手に入るのだろう。
考えた末、まずは体調を整えることから始めた。体の調子に欠かせないのは適度な睡眠だが、空腹では寝つきが悪い。かといって、ただ腹を膨らませればいいという訳でもない。栄養がしっかり摂れ、なおかつタンパク質で程よく腹を膨らませたい。食事の満足度を上げるためには、その直前にしっかりと空腹になっておく必要がある。つまり、運動し汗を流すことだ。
男は、10キロほど走り、汗をたっぷりかいたので見かけたスーパー銭湯に寄り汗を流し、館内着のまま食堂でトンカツ定食を食べ、仮眠スペースのリクライニングチェアで横になった。
翌日、男は清々しい気持ちで仕事に向かった。
適切な遺書 結騎 了 @slinky_dog_s11
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