第6話
6時34分、シャワーに入り、朝食を食べ終えた私は、いつも通り七三分けにした髪にワックスをかけ、パリッとしたスーツを身につけた。
お気に入りのネクタイを手にし、妻にネクタイを締めるよう頼もうとして、ふと妻はもういないのだ、と気づく。
しかし、社会人たるもの、身嗜みには気を遣わなくては。
覚束ない手つきながらも何とかネクタイを自力で締め、私は妻が一昨年の結婚記念日に贈ってくれた腕時計を身につけた。
冷蔵庫を開けると、そこには妻がいた。
いってきます、と冷蔵庫に声をかける。
声こそ聞こえていないが、何だか彼女もいってらっしゃい、と言ってくれているような気がした。
玄関先でもう一度手を振って、私は家を出発した。
妻とまともに挨拶を交わすのなんて、何年振りだろうか。
やっと私たちの結婚生活が再開したような、そんな気がした。
私と彼女の結婚生活 @WhatIsSankakukansu
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。私と彼女の結婚生活の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます