第6話 遭遇

山頂へ行く道沿いに

賽の河原という場所に出る

大きい石を下に

だんだんと大きさを小さくしていき

石の塔を作る。

亡くなった人を送り出す儀式で

石を積む人がいるのだ。

一が

「ここはいつも澱んでいるんだ。だからココは苦手なんだけど

ココを通らないとダメなんだよねっ。

頑張ります。」

気合いを入れた時だった。

パッキ。

小枝を誰かが踏む音がした。

武様と一。そして胡桃に緊張がはしる。

山の頂上を見ようとした時。

武様が一を抱き寄せた。

顔の横に鋭い刃のような物が

かすめて行くのが見えた。

胡桃の毛が逆立ち、尻尾が箒のようになった。

武様が

「一よ。10数えるから山の頂上まで走れ。私が風を使い一の足の手助けをするからのぅ。」

続けて

「母から聞いてる数え歌じゃぞ。」

「胡桃のぅ。山頂の寝釈迦様に着いたら、変幻して起こしてくれ。助けが必要だと。」

胡桃は頷いた。

息を大きく吸った武様が息を吐こうとした時

、、、一走れ!

頭の中から武様の声が聞こえた。

ヒフミヨイマワリテメク

一も走る出す。


ルーが頭の中で響いた時

風がブワーー‼︎!!!!

と吹き飛び

体が宙に浮き上がった。

胡桃はまるで見えない階段を登るように上に駆け上がっていく。

一も負けじと風をかけ上がる。

体が軽い!

足で風を蹴っている。

不思議な感覚だ。

武様は、、、どうしているんだろう。

山頂に駆け上がりながら

フト

下が気になった。

胡桃がその気配を察知し

「一!前だけ見るんだ!下を見るな!」

激怒が飛んできて

必死に駆け上がった。

山頂にある寝釈迦様は

誰がこんな場所に運んだの?

なんで岩の上に不安定になりながらも落ちないで寝てられるの?

三角お山の上に、丸い積み木を積むよいな体制で寝ておられる。

修行?

それとも無重力?

そんな事を思っていたら

胡桃が

「変幻します。石を。」と言った。

「あっこれ?」

一は代々受け継がれる家宝を胡桃に渡した。

胡桃が手の肉球の微妙な隙間に石を入れた瞬間

胡桃の毛がボウボウと長くなり、体もヒグマのように大きくなり。目も夜の猫の眼。キラキラして緑色のような、黄色のような怪しい色で反射している。

、、、一!

頭の中から声が聞こえる。

胡桃の声が少し大人のように低くなっていた。


一、これから寝釈迦様を下から押し上げる。

一は私の背中にしがみつけ!


エェ?と思っていたら

母猫が子猫を首根っこを持って移動するように、

一を咥えて背中に投げた。

足を踏ん張り三角お山の下に降りた。と同時に飛んで寝釈迦様目掛けておでこをぶつけに行った。

寝釈迦様が三角お山からヒラリとおりた。

「手荒いのぅ。何かあったかのぅ」

胡桃をみて一を見、槍に気づいた。

察する能力は流石だ。

、、、寝ていた間にだいぶ酷い事になったのぅ。一と言う名前か、五輪塔にいるあれが見えるかのぅ?

向かいの山を見て下を見た。

立派な石の五輪塔がある。

黒い影が見えた。ぐるぐると渦を巻いた何かまぁるい黒いものがある。

、、、一瞬でも槍を放つ時、迷うな!迷いはあの黒い物に引き込まれてるからのぅ。気をつけよ!

胡桃よ。一をあそこまで背に乗せよ。

風はワシが放つ。うまく乗りこなせよのぅ。昔のように。

胡桃がフって笑ったように見えた。

行け!

ヒフミヨイマワリテメク

ルー!!!!

台風のような風が

足から湧き上がり胡桃がかけ上がる。

必死に背中にしがみついた。




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廃神社が本当はすんげぇ神様だったわけ。 @Fukunokamifukunosin

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