ぺるそな

あなたは昨夜、夢を見ましたか?

もし見たというのであれば、どんな夢だったのでしょう?

幸せな夢ですか?

何気ない日常の夢ですか?

それとも____

目を背けたいくらいの悪夢ですか?



私は夢を見ます。毎日、必ず。

日によって夢は違うのですが、それはそれは愉快な世界です。


7日前は不思議な御屋敷で御茶会をしました。

それはそれは楽しい時間でした。

少女が私にこう言ったのです。

「お味はいかが?」

目の前に差し出された紅茶は、あかく、美しい色をしていました。

一口、喉にすんなりと馴染むその液体は、なんの味もしなかったのです。

私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


6日前は、広い広い草原に居ました。

横になっていた私は目を開くと、みどりに生い茂る草花を眺めました。

すると少年がこう言いました。

「寝心地はどう?」

覗き込んできているはずの少年の顔は、上手く認識ができませんでした。

私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


5日前は、街の中に居ました。

私は、暗い空の中、きらきらとしろく眩しい建物の光を浴び、人波に流されておりました。

すると、道行く男性がこう言ったのです。

「一体こんな時間に何処に行くんだい?」

私は立ち止まり、振り返りました。

男性はどんな顔でしたっけ…

そして、私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


4日前は、海に居ました。

潮風が吹き、空も海もあおく美しかったです。

近くの老婆はこう言いました。

「海の空気は心地いいかい?」

私はまっすぐ前を向いていました。

私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


3日前は、荒れた天気でした。

雷が鳴り響き、雨が激しく降り、空はくろく染まっていました。

老爺が私に言いました。

「こんな嵐なのだから、外に出ないように」

大きな雷鳴が響く中、何故か耳は痛くなりませんでした。

私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


2日前は、とても良い天気でした。

空は優しく夕焼けでおれんじに染まっていました。

私は空を眺めていました。

すると、女性がこう言いました。

「明日もいい天気になりそうですね」

私は女性に見覚えがありました。

確かに、あったはずなのです。

私はなんと答えたのでしょう?

もう覚えておりません。


昨夜は、家の中に居ました。

明るく優しい光に照らされ、静かに座っていました。

その日は誰も話しかけてはきませんでした。

「__________」

私は何か呟いたはずです。

私はなんと言ったのでしょう?


________ああ、やっと思い出した!

あなたに話を聞いて頂けてよかったです。

でも___

「夢は結局は夢でしかない」

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ぺるそな @NOZOUSA

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