結び 前略 女子高生万歳
この原稿をゆっくり温めている間に世界情勢は変わってしまった。
国連の常任理事国は理性を持ってーー少なくとも損得勘定で大損をするような行動はとらないという大前提が崩れてしまった。
戦争は文字通り、人間を消費する。
しかも、たちの悪いことに未来ある若者から消費する。
例えば、現代日本の高校生の製造コストは古代中華皇帝にかかる人的コストを超え得るというのにだ。
戦争が起こると職業も戦時に役立つものが優先される。
有事リスクの高い国では女子のSTEM系への進学、就職が目立つ。
本人が望むも望まざるも関係なく。
我々はこのような蛮行に対して毅然とした対応ーー端的に言うと現ロシア政権を完膚なきまでに叩き潰さなければならない。
ここで注意してほしいのが、「国」や「国民」でなく、あくまでも「政権」ということである。
もちろん、ロシアにも未来ある若者たちがいて、むしろ彼ら彼女らが一番の被害者であるとも言える。
「悪い」とされる国の普通の人々にも普通の生活があって、普通に毎日を生きている。という想像力を働かせてほしい。
私が執拗に大国の蛮行について異議を唱えるのは、第一部で主張した通り、女子高生は現代社会の生み出した平和の結晶だからである。
いうまでもなく、女子高生は女子大生や女子研究者などに変化する可能性を秘めている。
やりたいことやって男社会に風穴を開けるのは痛快じゃなかろうか。
その可能性を奪うことは人類の損失ではなかろうか。
繰り言になるが、すべての国のすべての女子高生が明日の心配をせずに学べることが現代社会の一つの到達点と言える。
若者たちにはくだらなくも、ありふれた、そしてかけがえのない青春を送ってほしいのだ。
女子高生万歳、女子高生が明日の心配をせずに安心して勉学やくだらないことに青春を燃やせる世界万歳。
了
本来提出するべき穏健な結びから変えざるを得なかった深い憤りと悲しみを込めて。令和五年一月末日。
女子高生万歳 宮脇シャクガ @renegate
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