第44話 新たなる戦い
鈴木はロキを倒した後、全ての力を使い切り、意識を失った。
倒れている鈴木を眺める3人の女神達。
「こいつ……どうする?」
「……一応あのクソ神を倒してくれたんだし、感謝しなきゃなんじゃない?女神らしくご褒美くらいあげるべきかな?」
「そんなんどうでもいいじゃん!ランちゃんそれよりロキがいなくなった後の最高神の座に誰がつくかの方が気になるなー」
「それはやはりそれぞれの世界の代表のバトルで決めるか?」
「いや、もうファンタジーはこりごり」
「じゃあどうするの?」
「なんか別の勝負で、手っ取り早いやつない?」
「……そう言えばこの鈴木の周りには、こいつに惚れてる女が3人いたよな?」
「……えっつまり?次は学園ラブコメで勝負って事?」
「3人のうち誰があいつを堕とすかっていう勝負か」
「やったー!行き遅れとオタクに恋愛スキルなんてあるはずないし、勝つのはランちゃんで決まりよね♩」
「黙れビッチ!」
………
……
…
頭の中が騒がしい。
鈴木は静かに寝ることもできず目を覚ました。
すると目の前にいたのは女神達ではない。
カドカ⚪︎に務める編集者ヨシヒコだった。
「良かった!気がついたかい?」
「ヨシヒコさん?なんで?」
自分は確か編集長室にいたはずだ。
それで……
「いきなり編集長室で倒れたらしいんだ。それで急いで医務室に運んで……」
そう言った瞬間、医務室のドアが「バン」と勢い良く開いたかと思うと、3人の女性が医務室になだれ込んできた。
その女性はいずれも鈴木の同級生、マリア、楓、春菜の3人であった。
「えっ?えっ?何?急に!」
ヨシヒコが狼狽えている。
3人は口を揃えて言った。
「なんか急にピキーンって!」
「鈴木くんがここにいる気がして!」
「それでなんか倒れてる気がして!」
おそらく女神達の差金だろう。
3人はそれぞれ鈴木を心配する。
「じゃ、じゃあとりあえず鈴木くんも大丈夫そうだし、後のことは3人に任せるよ。僕は、本格ファンタジーの担当のため、頑張らなきゃ」
そう言ってヨシヒコは、この後の仕事に期待に胸膨らませ医務室から出て行った。
ヨシヒコが出て行ってすぐに楓は上から目線で鈴木に言う。
「わ、私が連絡してるのに、返事をしないなんて生意気よ!私のラインには1分以内に返しなさい」
そんな理不尽な言葉をマリアが諌める。
「楓ちゃん、鈴木くんは倒れてたんだし仕方ないよ。私が元気になるまで看病してあげるからね」
いつもは奥手の春菜も負けじとマリアを押し除ける。
「す、鈴木くん。鈴木くんの筋肉ならすぐ元気になりますよね。医務室は暇だと思っておすすめのファンタジー小説持ってきました」
ヒロイン3人は、鈴木を巡ってしばらくわいやわいやしていたのだが、先ほど去っていったはずのヨシヒコが、大慌てで部屋にとんぼ返りしてきた。
「ちょっと!ヨシヒコさん!医務室なんだから静かに入って下さい!」
楓はヨシヒコにきつい口調で言ったが、ヨシヒコは慌てておりそれどころではない。
「それどころじゃないんだ!大変なんだよ!編集長がいきなり方針を変えるって!今回の計画は全部なしだって言い出したんだ!ああ!僕の理想のファンタジーがー!!!」
ああ思った通りだ。
鈴木はその決定を聞いて珍しく声を上げて笑った。
それを見てヨシヒコはイライラしたように言う。
「なに笑ってるんだよ鈴木くん。それだけじゃないんだぞ!なにをとち狂ったか編集長!いきなりホワイト先生に書いてもらう小説の話を勝手に決め出して……」
「どんな話なんですか?」
とマリアが聞く。
「それが筋肉ムキムキの高校生が主人公だって言うんだよ!」
「筋肉!いいじゃないですか!」
そう春奈が即座に答える。
「それだけじゃない!話だってデタラメなんだ!その高校生がチート勇者やらスローライフおっさんやら悪役令嬢を片っ端から殴っていくなんていう、ストーリーむくそもないめちゃくちゃな話なんだぞ!そんな物をホワイト先生に書いてもらうなんて……」
楓ら概要を聞いて、流石にちょっと引いている。
「うへー。それは流石に……タイトルとかってもう決まっていたりするんですか?」
ヨシヒコは頭を掻きむしりながら答える。
「ああ、タイトルもそういえば言ってたよ!聞いてくれ!それもめちゃくちゃだ!!タイトルは『どう考えても……
………
……
…
『どう考えても、魔法より筋肉の方が強い』完
どう考えても、魔法より筋肉の方が強い 唐土唐助 @morokoshi-tousuke
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