社会人になると、だれもが自分の役を与えられる。
平社員には平社員の、中堅には中堅の、上司には上司の役柄が割り振られている。
解釈はそれぞれにゆだねられているけれど、その役になったら、その役らしく振る舞わないといけない。
善いとか悪いではなくて、やらなければならない。
いつの間にか、表と裏の顔ができてしまう。
なんだか、ちょっと息苦しい。
でもひょっとしたら。
苦手なあの人も、役をまっとうしてるだけなのかもな。
そう考えると、ふっと力が抜ける。
私の嫌いなあの上司は、空になにを見るんだろうか。
とてもゆるやかで、どこか暖かい小説です。