キラリと輝く表現が素敵です。

「景情一致」という言葉を思い出した。冬の花火という物寂しい情景や涙越しに見える線香花火など、上手く人物の心情を景観に当てはめている。だからこそ、最後に残る余韻は素晴らしいものになる。さりげなくだが、とても難しいことやってのけるのだから、思わず唸ってしまうのである。「ああ、またもや、してやられたなあ――」と。勿論、これは良い意味での「降参」である。

 また、登場人物の一挙手一投足にキチンとした意味を持たせているのも素晴らしいと思う。洗練されていて、大袈裟なところがほとんどない。素朴だからこそ、心惹かれるのである。「大事な思い出にしなくてはならない」という肯定が生まれるのである。生活の中に根差した優しさのようなものを感じさせるのだ。そういう形の愛情を伝えるのが、本当に上手な作者様だと思う。「ああ、、またしても、してやられたなあ――」と喜んで降参してしまうのである。