ぼくとわたし 🐶

上月くるを

ぼくとわたし 🐶





 ねえ、わたしたちがここへ来てから、まる十二年にもなるんだよね。

 え、もうそんなに……じゃあじゃあ、ぼくたちシニア犬ってこと?


 そうよ、見て見て、けっこう風格が出て来たと思わない? わたし。

 風格っていうか……ま、いいや、五十近い季節に洗われたんだもの。


 わたしの首にかけたwelcomeプレートも相当な貫禄が出て来たよね。

 それを言うなら、ぼくのプレートなんか、ほとんどかすれているよ。


 仕方ないわよね、ずっと同じではいられないもの、なにもかも……。

 日夜仰ぎ見ている太陽も月も星も少しずつ変わっているみたいだし。




      🌞




 思えば、かあさんがわたしたちを見つけてくれたのが奇跡のご縁よね。

 だね。末っ子として可愛がっていたクロさんが犬の神さまに召されて。


 止まらないなみだをワイパーで拭いながら(笑)フラワーガーデンへ。

 そこで出会ったぼくたちを大事に手のひらにのせて連れ帰ってくれた。


 クロさんが眠る中庭の入り口に置いて「ふたりでお庭番をお願いね~」

 それからぼくたち、たくさんの蝶や鳥や蜂をウェルカムして来たよね。


 ふたりのおねえちゃんから贈られた薔薇と紫陽花も大切に守って来た。

 何年か前に野鳥が運んで来た南天も今年はつやつやの実が生ったよね。


 


      🌺




 これから本格的な冬がやって来るけど、スクラム組んでがんばろうね。

 小春日和の剪定で、かあさん、ふたりをぴったり寄せてくれたものね。


 来年の春は若々しいみどりと色とりどりのお花で華やぐわね、きっと。

 今年の日本&世界はいろいろあったみたいだけど、来年こそいい年に。



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