陰キャな男子高校生が、頼みごとをされると断れないヒロイン、優木坂さんを手助けしたことから始まる、とにもかくにもじれったい(良い意味で)お話。
私にとっては今は懐かしい学校生活の、いまとなっては楽しかったと思える何でもなかった出来事を追体験させられるようで、胸がキツく締め付けられます(とうぜん良い意味で)。
そんな、いまはまだ輝かしい青春を謳歌していることを自覚していない等身大の高校生が、飾り気のない言葉で綴られて楽しかったことばかりを(言うまでもなく良い意味で)思い出させてくれます。
日常の何気ない会話や、地の文にちりばめられたコメディセンスにクスッとしてしまい、うっかり時間を忘れて読み進めてしまいます。ほんと、読んでてニヨニヨしてしまうんです。時間返して下さいっ!(褒め言葉です)
目つきの鋭さから完全に孤立した男子高校生の青井さんと、同じクラスの女子で、頼みごとをされると断れない優木坂さんがじれじれする日常のお話です。
学校生活って窮屈ですよね。少なくとも1年間は毎日同じ人と会わなくちゃいけない。少しでも異質なことをすると、ひそひそ話をされて、針の筵になる。だから、十中八九よいことに転がる行動だと分かっていても、色んな不安が浮かんでなかなか一歩を踏み出せない。
そんな特殊な環境ともいえる学校が、等身大の高校生の視点で描かれているので、当時の感情が呼び起こされます。
息苦しさもあったけど、それがあるからこそ際立つ気になる人との日常の一コマ。目が合ったことや、何気ない一言で一喜一憂していたあの頃。
そんな環境が思い起こされるからこそ、一歩を踏み出した青井さんを応援したくなって、なんだかほっこりするお話です。
これも有名な作品ですので、私ごときがレビューを書くは「ちょっと」気がひけるくらいの「名作」です。
なんというか、「美男」「美女」の「一目会ったその時から」みたいな感じではないんですよね。もっとリアルで、ナカナカ距離が縮まない、甘酸っぱくて、ヤキモキしちゃうそんな青春ものです。
第一印象が大事とよく言いますが、最近は第一印象に全フリした恋人関係が多いですが、これは、そこが「ちょっと」違う。本当に人を好きになるってことが、どういうことなのか?リアリティたっぷりで語ってくれる、そんな恋愛物語です。
皆さんも「是非」読んでみてくださいね!