わたしは、『ふつう』になりたかった。

 現代日本の。とある高校。そこに通う、どこにでもいる高校生。
 例えば北沢柑菜は、自分の意見を上手く伝えることができない。周囲と上手くコミュニケーションが取れず、友達がいない。しかし、それを孤高と開き直れるほど強くもない。

 どこにでもいる。高校生。
 「ふつう」になりたい。女の子。
 
 そんな彼女が、とあるきっかけで怪しげなスクールカウンセラーに『相談』して……というお話。
 思春期の、ゆらゆらした、感情や葛藤が、ゆったりとしっとりと、あるいはねっとりと語られています。それは「ふつう」になれなかった「どこにでもいる」誰かの物語であり、映画とか小説の「ドラマチック」からは離れた、じめっとした手触りの、「わたし」の物語でもあります。
 
 北沢柑菜以外にも様々な「どこにでもいる」生徒が登場し「ふつう」になるためにあがき続ける群像劇。
 第六話以降の展開にも期待しています。