まず、4000字とは思えない巧みな構成と文章。
そして、和歌の疑似科学的解釈がとても斬新で素敵だ。
私はとても偏屈な方だと自分でも感じるのだが、
この作品のヒロインである「彼女」の
「素粒子って細かくあげればキリがないけど、大体17種類に分かれているの。そして、驚くことにどれもが重さがないのよ」
という発言を読んだ際に
「素粒子の中で質量が0なのは、光を構成する光子だけだけれど」
と思ったわけで、
冒頭の「0+0はなぜ0なのか」という「彼女」の問いについても
「数学上の0の話をしているのか?物理学上の0の話をしているのか?」
と問い詰めただろう。
この作品の主人公は、当然私のようなクソ野郎ではないので、優しく屁理屈な彼女を受け止める。
そして、私と「彼女」では恋心の電子は発生しなかっただろうなと思い、読了後少し寂しくなった。