第2話 登校

「いってきます」


お母さんが作ってくれたお弁当を持って家を出る。今日は雲ひとつない晴天だ。


私の登校する道。いつも通りの風景。


登校班の列をなす小学生。ヒールを鳴らして歩くOL。手を繋いで登校する高校生カップル。虫の死骸に群がる蟻。談笑している中学生。変わる信号。座り込むホームレス。揺れる木の葉。出勤するサラリーマン。忙しなく行き交う車。


いつも通りの、私の登校する道。


昨日はあそこに花なんか咲いていなかった気がする。あ、ミミズが干からびて死んでる。


……いいなぁ。


信号が赤になり、私は足を止めた。もし今止まらなければ?もし隣の人が無差別テロを起こしたら?もし頭上のビルが崩れ落ちてきたら?


タラレバで生活する毎日に辟易する。どうせそんな事、起こりやしないんだから。


信号が青になった。みんなが安全な道を歩く。だから私も安全な道を歩いた。

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死にたいより、消えたい すももステーキ @aihana04

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