話の舞台は前世紀。まだオンガクというものがネットで気軽に消費されるようになる前の時代です。レビュワー自身は音楽から遠い生活を送ってきた人間ですが、それでもその当時の音楽の勢いというか存在感は感じていました。その空気が再現されていると思います。3行目から現れる日常では使わないような単語とルビ。読書としてはちょっと雑音になるかもしれませんが、慣れればそれも作品の一部と思えるようになります。
魅入られた者ゆえの渇きや孤独が緻密に描かれた作品。共鳴するようにして集まった彼らから放たれる音に、心を撃ち抜かれます。「音楽ってこうだった」と思い出させてくれるようでした。
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