第8話 最期の話
最期の話。だいたい予想はつく。
「さて、話そうか。あの事件で俺は深く傷ついた。それはお前だって分かってるはずだ。なのにあのとき話さなかった。謝らなかった。逆の立場になってみろよ。なぁ。どうなんだよ。なんか言ってみろよ。」
そのとおりだ。紘汰の言ってることは正しい。俺の行動が間違ってたんだ。
「何も言えてねぇ−じゃねぇーか。あぁ。お前みたいな野郎がいるからあんな無慈悲な事件が起きるんだ。そんなこともわかんねぇーのか。みっともねぇーよ。」
「ごめん。」
「ほんとにそう思ってるのか。思ってるわけねーよな。お前みたいなやつだもんな。あぁ、お前と友だちになったことが間違ってたみたいだな」
「そんなことn…」
「そんな事あるんだよ。そんなこともわかんねぇーのか。」
「ごめん」
「ごめんで何でも済む世の中じゃねぇんだよ。いい加減世の中のことぐらい分かれよ。全てはお前で回ってるわけじゃねぇーの。」
そうに決まってる。そのくらいは分かってる。でも、言えない。なぜだろう。当たり前が言えない。言葉にできない。紘汰もそうだったのか。心に暗闇のようなものができた。
「それだとしても、色んな人に迷惑を掛ける必要はないだろ」
「ぴぴぴぴっ」
「おっと、20分たったか。じゃあ、もう終わらせよう。」
たくさんの銃口がでてきた。ばばばばばばっ
鳴り止まない銃声。さっきと同じように机に下に隠れた。ばばばばばっ。ばばばばばっ。ばばっ。ばっ。ば。
「あーーーくそっ。弾なくなったじゃねぇーか。あーーー。もーー。」
そしたら、一瞬目の前が光った。気づいたらそこは、元いた場所だった。戻ってきたんだ。きっと、あのゲームの攻略法は2つあったんだ。1つは20分間生き残る。
2つは銃弾をすべてなくす。きっと。きっと、そうだったんだ。そして、家へと戻った。帰ったらまた最悪な日々。そう思っていた。だけど、心の奥底ではなぜか変わったかと少し期待していた。紘汰と最期の話がしたかった。いつもの日々。
帰ったら壁は赤く誰もいない。
「ただいま。お母さん、今帰ってきたよ。えっ、僕なんか悪い子とした?やめてっ。」
いつもの日々。ただいま。……。
仮面ゲーム @amens
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
近況ノート
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます