第7話 幸せの心理
幸せとはなにか。そんなの当たり前だった。考えたこともなかった。
「紘汰の気持ちはきっと…。」
確信した。
「紘汰。俺が悪かったよ。あの事件のことについて謝罪させてくれ。本当に父がすまなかった。あのときはまだ紘汰の気持ちがわからなかったけど。今わかった。紘汰。
悪魔は、何も言えなかった俺の心だったんだ。紘汰の幸せを全部全部全部全部奪ってごめん。」
「ははっ、謝ったぞこいつ。頭イカれちまったのか。過去のお前とは全く別だぜ。」
紘汰が真実を知った。その時はまだ中学3年。もちろん俺も知っていた。あのときは、大丈夫くらい言えたはずだ。なのに、何も言えなかった。言いたいことは山ほどあった。なぜだろう。人の心は時が経てば立つほど汚れができて、宝石のような心がいつしか泥だんごのようになっていく。もう心は泥団子どころか崩れてしまっている。腐りきってだ。悪魔の心の色は黒。天使の心の色は白。俺の心の色はちょうどあいだの灰色。だけど、もう少しで黒になってしまう。もうなってるかもしれない。
ひび割れた灰色の心。最悪の心だ。ずっとこの心のままで生活してきた。不衛生な生活だった。足跡は灰にまみれている。手は、垢まみれ。体中泥。そんな感じだったんだろう。そう、他人から見ると。紘汰から見ると。
「おい、俺たち置いてけぼりか。」
ゲームに参加してる人だ。
「君は確か…壮汰(そうた)だね。いけすかないねぇ。殺す。」
銃殺された。
「全く。話がそれてしまったでないか。邪魔者は排除する。それが俺のモットーだ。いけ好かないやつは全員殺す。話が済んだらお前も殺す。それだけだ。」
無慈悲に。たったそれだけの理由で殺されてしまった。
「さて、話を戻そう。事件についてだ。これがお前と話したい最期の話だ。」
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