第2話 押し付けと線引き
私は実家の縁側で足をブラブラさせながら休んでいた。
法事といいながら、お寺のお坊さんが来るまでの掃除以外は特段することはない。
そもそも親戚連中があまりにも多すぎて、人手は十分に足りている。
私も祖父ではなければわざわざ帰ってこなかっただろう。
そんなことを考える。雲がゆったりと流れ、風が吹く穏やかな時間が流れている。
そこに、小学生の男の子がやってきた。
従兄弟の子供だった。
「カキツお姉ちゃん、久しぶりー。」
「賢人君。久しぶり。大きくなったね。」
私は膝の上に賢人をのせる。
産まれたときから知っているせいか、私は賢人が可愛くて仕方ないし、賢人も私を慕ってくれる。
「まだまだ小さいもん。」
「普通、逆の反応するもんじゃないの……?」
私は首をかしげた。
「カツキお姉ちゃんは大きいね。」
賢人は笑う。たしかに身長150cmしかないとはいえ、小学生から見たら十分にデカいだろう。
「そういえば、この法事終わったらみんなでパフェ食べに行くの。」
「そうなんだ、よかったね。」
「カキツお姉ちゃんは来ないの?」
「私は……良いかな。」
「でもジャンボパフェだから、みんなで食べたほうが美味しいよ。」
ジャンボパフェなんて、5人前くらいなら5分もあれば完食できる。
デザートとして食べるにしても、10人前くらいでトントンになるかどうかだ。
賢人は、私を見て『えー、来てよ』や『なんでなんで』を繰り返す。
「賢人どこだー?あれ、イチカじゃん。」
遅れて私と同い年くらいの男もやってきた。
ひとまずパフェの話は流れそうで助かった。
腕には、青い蛇の入れ墨が入ってる。
「あんたも来てたの、真朱。知ってたら賢人君のお祝い渡したのに。」
「まあな。」
「イチカじゃないよ、カキツ姉ちゃんだよ。」
「カキツって言いにくいだろ、だからコイツの友達はみんな「イチカ」って呼んでるの。」
「イチカぁ?どこにイチカがあるの?」
「市松花木都だから、名字と名前の最初の方とって『イチカ』。」
「まあ、賢人君は好きに呼んでよ。で、真朱は何しに?」
「お坊さん来たらしいから、そろそろ始めるって。」
「ん。すぐいく。」
私は賢人を膝から下ろし、立ち上がった。
「行こうか。」
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