東所沢駅から少しのところには

 以前の捜索で「ここだ」と見当をつけた場所は武蔵浦和から西国分寺に向かう列車の進行方向左手だった。だが、地図を確認すると線路の左側は南にあたる。

 犯行現場は【線路の北側】。まるきり逆だ。

 なぜこんな勘違いが起きたのか。

 おそらく、当時の私は進行方向左側のドア際に立ち、ドアのほうを向いて本を読んでいたのだ。武蔵浦和駅で列車に乗り込み、まっすぐ開いていないドアの前に進む。そのまま、本を読む。物語のなかの犯行現場に近づいていると気付いて、本から顔をあげる。目の前にはドアがある。興奮した私は背中側の光景や、どちらが北かということは気にもしなかったのだ。


 昔の失敗に気付き、私は慌てて反対側、北側のドアに近づいた。幸いなことに人はいない。線路が地面と並行になるのを待つ。だが、なかなか地面は見えない。

 そのときはあっけなくやってきた。

 あ、金網と思った矢先には列車は新秋津に着いてしまった。なるほど【地面と同じ高さを走るところはほかにないからすぐに解る】というのも納得だ。だが、はたして私は正解にたどり着けたのだろうか。

 西国分寺駅に向かう途中、確かめる方法を思いついた。【近くに大きな桜の木】があるはずなのだ。春にまた答え合わせの旅に出ればいい。

 西国分寺駅で降りて、きさらぎ荘を探し、恋ヶ窪駅に向かう。恋ヶ窪駅から犯行現場までは距離があるから、レンタルサイクルにしよう。東所沢は角川武蔵野ミュージアムの最寄り駅だ。

 コロナの心配のない時代が早く来てほしい。

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恋ヶ窪駅は武蔵野線にない アカニシンノカイ @scarlet-students

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