乱雑な方程式
岸亜里沙
乱雑な方程式
数日前、私は親友の
ちょうど予定が合ったので、友達の
その道中、陽葵が私に話しかけてきました。
「
「えっ?」
「琴音の意見を聞かせてほしいな」
「さあ、正直分からないわ」
突然オカルト的な会話を振られ、私はビックリしました。
「じゃあさ、UFOは見たことある?」
陽葵はお構い無しに話しを続けます。
「いや、私は無いわ」
「私は何回かあるの。だからUFOは確実に存在してると思うの」
陽葵はハッキリと言いました。
「確かに私もUFOが存在しないって、言い切る事は出来ないけど・・・」
私はたじたじになりました。
「ちょっと前に、アメリカで空軍パイロットが撮影したUFOの映像を、アメリカ軍が正式に本物だと発表したしね」
「そうなの?」
「ええ。でも正直言うと、私は宇宙人に関してはいないと思ってるの」
「えっ?UFOって宇宙人の乗り物でしょ?」
「UFO
「じゃあ陽葵が考えるUFOって一体何?」
「乗り物よ」
「えっ、何?どういう事?宇宙人じゃなかったら誰が乗ってるの?地球人が乗ってるわけ?」
「その前に、この写真見て」
そう言うと陽葵は、自分のケータイを私に見せてきました。
その写真を見た時、私は驚きのあまり全身に鳥肌が立ちました。
そこには自撮りしたであろう陽葵が写っていたのですが、陽葵の後ろにボンヤリと、叫び声を上げるかのような女性の白い影が写っていたのです。
「何これ?心霊写真?」
私は尋ねました。
「そう!初めて撮れたの」
陽葵が嬉しそうに話すのに驚きました。怖がってはいないようで。
「陽葵は怖くないの?早く写真消しちゃいなよ」
「嫌よ。私、宇宙人はいないと思うけど、霊はいると思ってるの。なかなか姿を見せないだけで。幻のポケモンみたいな感じって思うの」
ポケモンと結びつける辺りは、ゲームフリークの陽葵らしいと思いました。
しかし、語っている内容が突拍子も無い上、仮に霊魂が存在するとするなら、霊魂をポケモンに例えるのは不謹慎かなと私は感じましたが、陽葵は更に話を続けました。
「でね、さっきの話だけど、きっとUFOって死者の霊魂を運ぶ乗り物なんじゃないかって、私思ったの!」
「えっ?!」
「高速で移動したり、レーダーに映らなかったりするでしょ?だからUFOって絶対、霊的なものなの。だって霊体になったからって空を飛べるって事はないと思うし、私たちみたいに移動するには、乗り物がどうしても必要よ」
陽葵の言い回しに、私は若干その話を信じかけました。
そして一瞬、
そんな事をふと考えました。
「陽葵の話、凄く興味深いわね。もし良かったらこの話、小説にしてもいいかしら?」
私は陽葵に尋ねました。
「琴音の小説読んだよ!『パンドラの薬』も『歪な波長』も良かったわ。私の話なんかで良ければ、いつでも使って」
陽葵はニコニコしながら答えました。
「でも佳苗には、さっきの心霊写真とか見せないでね。佳苗、そういうの苦手だから」
乱雑な方程式 岸亜里沙 @kishiarisa
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