第152話 勉強会当日

 そして月日は進み、みんなで約束した清華のお屋敷での勉強会の日がやってきた。

 現地集合ということで、僕と瑠美夏は一緒に行くことに。

「あつ~い……」

 家から一歩出て、瑠美夏はギラギラと輝く太陽に文句を言っていた。

 今日は雲一つない快晴で、風もほとんど吹いていない。

 ニュースでももうすぐ梅雨明けするって言ってたし、いよいよ夏本番って感じになっていた。

「ほら瑠美夏。ここで太陽に文句言っても仕方ないから、早く行こうよ」

「そうね……。それにしてもあつ~い!」

「あはは……」

 これはしばらく言い続けるパターンだな。早くお屋敷に向かわないと。

 このタイミングで、僕は瑠美夏の服装を改めて見る。

 今日の瑠美夏は、白地のTシャツにデニムのショートパンツといったシンプルな装いなんだけど、瑠美夏って本当に美少女だから何着てもすごく似合う。

 それに、ショートパンツから伸びた白くて綺麗な脚に自然と目が行っちゃう。

「ん? どしたのきょーへー?」

 僕が瑠美夏をチラチラ見ているのに気づいたのか、瑠美夏は少し首を傾げた。

「い、いや……なんていうか……に、似合ってて、可愛いなって……」

「っ!?」

 女性の服を褒めるのって、思ったより勇気がいるんだね……。

 一方瑠美夏は、驚いて目を見開いている。そして顔がすごく赤くなった。

 これは、暑さにやられたから……ではないよね。

「あ、ありがと……すごく、すごく嬉しい」

「う、うん……」

 瑠美夏はだんだんと声が小さくなりながらも、お礼を言った。

 僕は、瑠美夏を褒めたあと、上機嫌になっていつもの『んふ~♪』が出ると思っていたんだけど、その予想が大きく外れてしまったようだ。

 瑠美夏……本気で照れている。

 予想外の反応、そして照れた可愛すぎる表情を見てしまっては、僕もかける言葉がなくなってしまう。……いや、その笑顔に自然と視線が吸い寄せられて消し飛んだと言った方があってるかもしれない。

 でも、僕は瑠美夏と仲違いする前から瑠美夏のファッションを何度か褒めたことがあるんだけど、こんな反応はしたことがない。

 やっぱり僕に特別な感情を抱いてなかったから……?

 そんなことを考えていると、瑠美夏から「というか!」って声が聞こえた。頬は赤いままでちょっと、ほんのちょっとだけ僕を睨んでいる。

「え?」

「い、いきなりそんなこと言われたら、嬉しいけど照れちゃうから、今度からは予告してよ……」

「……ど、どうやって?」

 予告って……「今から『可愛い』って言うよ。可愛い」みたいな感じかな?

 え、待って……予告した方がめちゃくちゃ恥ずかしくない? それになんかカッコ悪い。

 カッコなんて気にするようなガラじゃないのはわかっているけど、なんか嫌だ。

 それに瑠美夏もそんな風に言われたら嬉しさよりも困惑が先に来そうだけど……。多分僕はそうなる。

「そ、それはきょーへーが考えてよ」

「うん。じゃあ予告はナシで。ほら行くよ瑠美夏」

 瑠美夏からいいプランが聞けたなら考えてもいいかなって思ったけど、僕に丸投げだったから、僕もプランごと誰もいない明後日の方向に丸投げした。

「え、ち、ちょっと待ってよきょーへー!」

 僕がスタスタと歩き始めると、瑠美夏はタタタっと駆け、僕の隣に並んだ。

 なんか、こういうのっていいね。楽しいや。

 僕たちは楽しくおしゃべりをしながらお屋敷へ向かった。

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クラスの二大美少女、悪女と呼ばれていた幼馴染と、聖女と呼ばれているクラスメイトに全力で言い寄られるようになった 水河 悠 (みずかわ ゆう) @kawa0620

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