第54話

「家族会議を始めます!」

「なに?美来、どうかしたの?」


「美来からの議題です。」

「美来はママとカズくんのセックスを、許したいと思います。」

「は?」

「何言ってんの?」

「反対!」

「私は、反対以前、却下!」

「なんで?二人とも喜ぶと思ったのに。」

「だって、カズくんは昔からママの事、好きでしょ。」

「ママだって、カズくんの事、好きなのわかってるんだから!」

「あとは2人がセックスしちゃえば、見事な親子丼の完成だよ!」

「後は卵でとじるだけ。みたいな言い方するな!」


「俺は反対。」

「俺は美来を裏切らない。」

「美来を裏切ることが、香織の幸せになるとは思わない。」

「もう、わかったよ。」

「私も、カズくんは好きだ。」

「でも、今は家族として好きなんだ。」

「セックスはしない!」

「ママ、性欲無くなっちゃったの?」

「失礼な!枯れた女みたいな言い方するな!」

「性欲ぐらいあるわ!」

「でも、相手の気持ちを考えられるから、人間じゃないの。」

「私は美来が誰よりも、大事。」

「大事な美来を裏切ってしたセックスが、良いものなわけがない!」

「俺も香織と同じ気持ちだよ。」

「どうしたの?美来。」


「わかった。ごめんなさい。」

「今の議題は取り下げます。」

「私がカズくんの相手を出来ない間、ママにお願いしたかったの。」

「何かあったの?美来。」

「うん。」

「次の議題。」

「美来。二人目を妊娠しました。」

お腹を押さえて話す。

この子に届くように。


「この子を、産んでやろうと思うんだけど、どうかな?」


「もちろん、賛成だよ!美来!」

「美来。」

カズくんが立ち上がり、私の後ろにまわる。

背中から抱きしめられる。

「賛成。大賛成だよ!」

「美来。愛してるよ。」

だから、耳元で話すなぁ!


「なんだ!そういうことかぁ!」

「そういう事なら、私が口で抜いてあげるよ。」

「そんなの自分でするよ。」

「昔は“香織のお口は最高だぁ!”とか言って、突っ込んできたくせに。」

「そんな30年くらい前の事、言われても。」

「カズくーん。」

「はい?」

「それ、美来にも、言ったよねぇ。」

「どっちが最高のお口だったか、聞かせてくれる?」

「え?」

「どっちも最高のお口でした。」

「「駄目!」」

「香織が至高のお口で、美来は究極のお口という事では駄目ですか?」

「それじゃぁ、やっぱり戦うしかないじゃないか!」

「どっちが先にイかせられるか勝負しようじゃないか!」

「望む所だよ、ママ!」

「なんで、いつも張り合うのさ!」

「「カズくんは、黙ってて!」」

「はい。」


どうやら私たちは、本当によく似た親子らしい。



END。


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1億円積まれたので、ママの元カレの子供を産んでやろうと思う 三九ななな @kazu_goodfield

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