第53話
「カズくんって今、夢ってある?」
「いっぱいあるよ。」
「なに?」
「今はみんなとずっと一緒にいたい。」
「みんなのご飯をいっぱい作りたい。」
「一緒にご飯を食べて、いっぱい話をしたい。」
「ゆきが大きくなってパパに甘えてくれたら、いっぱい甘やかす。」
「そんなに甘やかしちゃダメだよ。」
「パパに言えば何でも叶えちゃう。」
「香織とも話したい。今まで話せなかった分、いっぱい話したい。」
「美来とずっと一緒にいたい。」
「いっぱい可愛がって、いっぱい愛したい。」
「もう一人子供が欲しい。」
「普通かもしれないけど、そんな夢がいっぱいある。」
前にママの言ってた通りだ。
どんな夢でも真面目に夢を話してくれる男の人は素敵だ。
「私もその夢乗った!」
「美来も一緒に叶える!」
いとおしくてたまらない。
「美来も、もうひとり欲しい!」
「もう1回してぇ。」
「まかせとけ!」
「美来。愛してる。」
「美来も、愛してる!」
真っ白だ。
真っ白な幸せ。
満たされていく。
幸せに満たされる。
声が聞こえる。
「愛してる。」
「私もぉ。あいしてるよぉ。」
意識もおぼろげに腕を引き寄せて抱き着く。
「あったかいよぉ」
あたたかさが心地いい。
「しあわせだぁぁぁ。」
好きだ。
出会えたことが幸せ。
一緒にいられることが幸せ。
優しいところが好き。
あったかいところが好き
まじめなところが好き。
強いところも、弱いところも全部好き。
家族が大好き。
本当に大好き。
ずっと一緒にいたい。
それが私の幸せ。
大好きだ。
私はこの人を愛してる。
「はい。今日もいっぱい食べられましたね。
「ゆきちゃんは偉いねぇ。」
「ママもお休みするから、今日はもうねんねしようね。」
「まぁま。」
「え?」
「まぁま。」
「カズくん!ママ!、今ゆきちゃんが「まま」って言ったよ。」
「マジか!」
二人が慌てて来る。
「ほら、ママですよ。」
「まぁま。」
「ね!ママって言ったぁ。」
「ゆき、俺はパパだよ。」
「パパ。言ってみて。」
「ぱぁぱ」
「パパって言ったぁ。」
「私は私かおりママだよ。」
口をパクパクさせるが声がでない。
「かおりママ。まだ言えないかな?」
口をパクパクさせて話そうとはしてる。
「じゃぁ。かおちゃん。かおちゃん。」
まだ声が出ない。
わからないのかなぁ。
「仕方ない。ばぁばは?ばぁば。」
「ばぁば」
「ばぁば。」
「今、ばぁばって言ったぁ。」
「もう、ばぁばでも良いよぉ。」
「ママ!うれしいよぉ。」
「私もうれしいよぉ。」
「カズくんに飛びつき、胸に顔をうめる。」
「嬉しい。嬉しいよ。」
片手でギュッと抱きしめて、もう片手で頭をなでてくれる。
「美来。ありがとう。よく頑張ったね。」
「うん。頑張った!今までで、こんな頑張った事なかったよぉ。」
「ふわぁぁ。」
涙があふれた。
今までこんな泣いたことなんてない。
こんな全身から幸せが溢れてくることなんてなかった。
「幸せだよぉぉぉ。」
「まぁま」
「ほら、美来。ママを呼んでるよ。」
「うん。うん。」
「ママだよ。ゆきちゃん。ママだよ。」
「まぁま」
「ずっと一緒にいようね。」
「カズくんも一緒にいてね。」
「うん。」
「ママもだよ。ママもずっと一緒だよ。」
「うん。」
「私たち家族はずっと4人一緒だよ。」
ゆきちゃんに全員で約束した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます