第14話 打ち切り

 俺達は魔族がいる事でここが魔王のいる魔大陸だとすぐに気付いた。

 その事に驚いていると、ルンルンラーンは自分の配下の大量の魔物を使って俺たちを襲ってきたが、俺の極大魔法で全て吹き飛したんだ。


「ご、ごめんなさいですわぁ〜! ワタクシ、なんでも言うこと聞きますからぁ〜!」

「なんでもって言ったな?」

「ひぃんっ!」


 俺は泣きながら土下座をしてくるルンルンラーンに制約魔法をかけ、そのまま魔王の元までつれていってもらうことにした。


 そしてそこまでの道のりの中で色んなことがあった。


 ラウディア王国魔王討伐軍の斥候隊に見付かって追われる事になり、それから逃げていると突然フィオの元婚約者を奪った男爵令嬢が魔女となって襲ってきた。


「フィオティーナ・レイグリフゥゥゥ! オマエが生きてる限り安心出来ないのヨォォォォ!!!」

「ちょっ! マジ最悪なんだけど!? 心配しなくてもあんな男にもう未練なんてないってばぁ!」


 そこでわかったのがフィオは俺と同じ転生者だということだった。しかも元ギャル。

 なんでもこの世界はフィオが生前プレイしていた乙女ゲームとよく似ていたらしく、ゲームと同じ要領でレベル上げが出来てあの強さらしい。

 令嬢として生きるのが窮屈で逃げたから今が楽しいとか。


「それに、貴族の男よりも今のレノっちのほうがタイプだしねん♪ てゆーか、惚れちゃった系?」


 一緒に魔女を倒してからはこの調子で迫ってきて大変だったが、旅の中で俺はリリスとフィオに惹かれていき、二人の想いを受け止めて今では心を通わせるほどになっていった。


 そんな中、あの森で俺が倒したはずの勇者と同じ顔をした奴が何人も襲ってきた。

 あの勇者は王国が作った複製勇者らしく、本体はすでに亡くなっていて、それを認めない王妃が禁術に手を出して作ったらしい。

 そしてリリスにその複製勇者の凶刃が迫った時、俺の中でモヤがかかっていた魔法が目覚めた。


 その力は【禁術聖典ロストレコード


 それによって俺はリリスと魂で繋がり、神剣を精製することに成功。

 その力で全ての複製勇者達を倒すことに成功した。


「レノ様! 愛しています。心から……いえ、魂から!」

「あぁ、俺もだ!」


 そして俺達は旅が終わったら結婚することを決めた。



 そしてたどり着いた魔王の城にいたのは魔王ではなく、リズフレイヤ様によく似た姿の邪神ロズフレイヤだった。彼女が邪神ということを隠して魔王として君臨していたのだ。


 彼女はリズフレイヤ様の双子の妹で、その性格の悪さから女神の地位を授かることが出来ず、邪神に堕ちたらしい。


 しかし、例え邪神だとしても俺の覚醒した【禁術聖典ロストレコード】には手も足も出なかった。


「あ、あなたリズフレイヤから力を貰ったのね!? じゃなかったらアタシがアンタみたいなやつに負けるはず──」

「やっかましい」

「ぷえっ!」

「黙らないとゲンコツする」

「もうしてるじゃない〜」



 それから俺たちはその魔王を奪い取り、そのまま城内で結婚式を挙げた。

 今では城の近くに小さな小屋を建ててそこで暮らしている。俺には城はちょっと広すぎて落ち着かないからな。

 ちなみにロズフレイヤはメイドとして城の掃除をしている。


 そして……


「へっへ〜♪ 幸せにしないとわからせちゃうかんね?」

「レノ様、たっくさん子供作りましょうね!」


 こうして幸せに暮らしている。





 と、思っていたら突然空が割れ、別次元からの侵略者が現れた。


「レノっち!」

「レノ様!」

「あぁ、わかってる。奴らを倒してまた幸せな生活を取り戻すぞ!」

「「うんっ!」」


 俺達の戦いはまだ終わらない!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

やり直し賢者のキミとの禁術聖典[ロストレコード] 〜冒険者を引退してから転生に気付いた俺、姫騎士を助けたら元悪役令嬢と一緒に指名手配されたので邪神を脅してひっそり暮らします〜 あゆう @kujiayuu

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ