第3話 タノシイな って思わなきゃ

重い身体を電車に乗せこんで席に座る。

私の唯一の時間。

業務での疲れを電車の中に落としていく。

こうやって電車の中で脳内リセットをしないと家で笑えない。

家で笑ってるのもギョウムだもんね。

笑っているのもご飯を作るのも満足のいく会話を提供する事が

私の家でのギョウム。電車の中でゆっくりと家への仮面へすり替える。

電車に揺られて1時間30。もう最寄駅が迫ってきた。

最寄駅にいつも話しかける。もう少し遠くてもいいんだよって

でも駅は離れてくれない。そんなに嫌なら帰らなけれなければいい

矛盾がいっぱいの自分、弱い自分に腹が立つ。

駅に着くと多くの幸せそうな声が飛び交っている。

耳に入れたくないのでそっとイヤホンで耳を塞ぐ。

好きな音楽なんてない。耳をすり抜けるだけの曲。

これも心地いい時間である。

帰り道に冷蔵庫を思い浮かべながら今日の夕飯を思案する。

今日はカレーとサラダを作ろう。

その前にコンビニによってホットスナックを買う。

これが私の唯一の楽しみである。

でも家にゴミを捨てるとまた怒られちゃうから明日会社で捨てなきゃいけないのが

すこし面倒だけどこれも彼の為。しょうがないのである。

彼はとっても倹約家でまじめな人なのでコンビニで買い物をすることはない。

その為私がこうやって買い物するのにも腹を立てるのである。

平和の為の解決は必須である。

大好きなホットスナックをつまみながらカレーを作る。

「ただいまー」

彼の声が飛び込んでくる。

「おかえり」

彼用の笑顔でお迎えする。ここまでは完ぺきなギョウムである。

「何でカレーなの?お風呂は?」

一瞬で背筋が凍りつく。ギョウムでのミスは許されないのである。

ここからどう立ち回るかでこれから先が変わるのである。

どうする自分。どう切り抜けるの。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

うそのウソは真実であると願う @nomurie28

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ