第13話 完結
俺は景色を堪能したあと、家へと帰った。
「
(やべ!病院のことすっぽかしてた)
「母さん!うん、大丈夫だから帰ってきた」
「治ったら、明日から学校行きなさいよ」
「うん…」
そして、いつも通りの日常を俺は過ごし、何事もなく8年が経とうとしていた。
――――――――――――
「もうすぐ25歳か……」
夕日と共に沈む俺のこころ
「もう、僕は……」
「そうだ!最後にあの場所へ行くか」
道のりはうろ覚えだが、なんとかあの彼岸花のガーデンにたどり着いた。
「やっぱり彼岸……いや
「そういえば、ちょっくらコンビニでほろ酔いを買ってたんだったっけ」
車からコンビニ袋を取り出し、赤い地面ではない所に座り、蓋を開ける。
「いやーいいもんだな」
自分がおっさんらしくなっているのに気付きながらも飲み進める。
「段々、頭がくらくらしてきたような……こりゃあ完全に酔ってしまった」
そのまま目を閉じ、光風と時が僕を通り過ぎていく。
―――――
「んっ⁉︎」
誰かに呼ばれた気がし、目を開けると、白い月が儚く見えた。
(あぁ頭が痛い。ちょっと飲み過ぎたな。ほろよいでここまで泥酔するとはな……。俺はもう25歳か…早かったがいろいろ楽しかったな―――!?)
「なつ……いやそんなはずはない!だって行方不明で………」
「
「ありがとう春華。あとは2人にして」
「夏希なのか?」
「秋……会いたかったです」
「なつき、今までどこへ」
「実は私も終わりなんです」
「終わりって?」
「私も秋と一緒で遅延性の狭心症です」
「っ!?」
「そして今年で25年、私たちの幕が閉じます」
「秋までこの病気にかかっていると思わず、知られたら悲しむと思って家出していました」
「ですが……最後に一緒に仲良く逝けるなんて………」
「夏希……俺はお前とこの大好きな火焔草に囲まれて死ねるなんて光栄だ」
「秋っ……!?」
俺の名前を呼んだかと思うと突然夏希が倒れる。
「大丈夫か!夏希!」
「そばにいて……ずっと……」
「ああ。ずっとそばにいる。向こうに行ってもな」
手を絡ませて倒れ込む2人。
(俺……僕は夏希と最後まで一緒に過ごせて良かった)
そして『火焔草に囲まれて』
――――――――――――
編集後記
やっとこれで本作を終わらせることが出来ました。これまで見てくださった皆様には多大なる感謝を。
さて、ここからは余談ですが……2人の最後は夏希の執事、春華が見届けそして弔いました。
そういえば、秋が自分のことを「俺」とよぶ以外にも所々で「僕」となっていることに気になっていた方もいるのではないでしょうか。これには理由がありまして、実は昔の秋は人柄が良く、優しい子でした。昔を思い出した時ふっと声に出してしまったのでしょうね。
火焔草に囲まれて 火焔草 @kaensou
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます