うちもけもの、たくさんいるんです。猫だったり、にんげんになりそこなった、やつだったり。けもの、いいです。素敵なんです。このおはなしも、あったかくて、やわらかくて、素敵。幻想、って銘打っているけれど、わたしは意見がちがうのです。令和のいまの、幻想をぬけて、このおはなしみたいな、ほんとの世界に、みんなで戻りましょう。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(168文字)
昔話のようなほのぼのとしたお話です。
文体と内容がこれ以外にないという必然的なバランスで成り立っています。喋る動物たち、狸にしか見えない猫の台詞回しなどには昔話的なほっこり感、やや古風な文体には明治時代の空気感があり、双方が融け合って独特な雰囲気があります。自主企画から飛んできて何の予備知識もなく読んでみましたが単品で十分面白く、本編も面白いに違いない、読んでみようと思える秀作だと思います。