第2話 タワマン暮らし
「うわぁ、すっご」
翌朝、私は一度家に帰り荷物をある程度揃えた後、大きめのキャリーケースに入れて電車に乗り込んだ。
結局、昼頃まで眠っていた私の顔は見るにも耐えられない状態であったので一度、シャワーを浴びておきたかったのである。
顔見知りの相手とは言え、2~3年は会っていない人物だ。私なりに身は整えておきたい。山手線の揺られて数十分と着いたのは池袋。なんと今の彼はこんな都心の街で一人暮らしをしているという。
(どんな生活を送っているのだろう・・・)
夢を追ってこういった場所で生活をして日々、困窮しているのであろうか。それとも普通にそこそこの賃金を貰って転職した先でサラリーマンとして生活を起こっているのだろうか。
それとも・・・
「あんなタワーマンションに住んでいたりして・・・」
ない、それはないだろうと思いつつ彼から言われた通りの待ち合わせ場所へと歩いて行った。
「目的地のコンビニに着いたけど、確か先に待っているとか言っていたような」
「おーい、高橋さん!久しぶり」
声のある方へ振り返る、高橋といったその声はあの当時と何ら変わっていなかったが、その彼の姿があの時とは全くと言っていいほど変化していたのだった。
明るめの紫のような髪色は直接見るとリンゴの皮のような明るさを持っており、髪の毛の長さだって耳が隠れているほど。そして何より服装だが何故か男なのにパーカー付きの部屋着用ワンピースという出で立ち
似合っているといえばそうだが、彼が本当に大崎巧なのか分からなくなる
「久しぶりじゃーん、電話を貰った時はビックリしたけど嬉しかったよ、てか高橋さんあんまり変わってないね」
「う、うん。大崎くんは・・・かなりイメチェンした感じだね。なんかあったの?」
「ん?あー、髪の毛伸ばしてみたくなってさ。前までは短髪だったじゃん?俺、学生時代もあんな髪型だったから思い切ってね」
「いや、私の言いたいことはそういうのじゃなくてさ」
素なのか、それともわざとなのだろうか。よくわからないが取り敢えず聞きたいネタは沢山できたし泊まらせてくれる彼には感謝だ。
ある程度、世間話をした後に彼はさっそく家へ招待してくれることに。キャリーケースをガラガラと引きながら歩いて数分で彼の家に着いたのだったが、
そしてそこはまさかのタワーマンションであったのだ。
「ここが俺の住んでるところ。正確にはここの18階かな?まぁ、ゆっくりしていってよ」
「すんごい、友達の中でもこんな世界で暮らしている人なんて本当に要るんだな・・・」
よく見る動画配信者なんてのはこういった所に住んでいるかもしれないが、まさか周りの友人の中に存在するとは思いもしなかった。
エントランスからエレベーターまでの道ですらホテルのような感覚になる、私の胸の中では現在、場違いではないかという落ち着きのない精神上。
彼の方は至って普通、これが慣れというものなのだろう。自分が知らない間に彼は自分と違う富裕層へと飛躍していたのだな、と思うと今までの自分が少し彼を小馬鹿にしていたのが恥ずかしくなってくる
「とりあえず入ってよ。まぁ、汚くはないからさ」
大理石の玄関、靴箱は学校の下駄箱以上の大きさであった。もうそこだけで言葉を失っていたのに奥にはまだリビングなどを残している。
「ん?あがらないの?なんか忘れものでもした?」
「え・・・いやいや!大丈夫だよ!すぐに行くね!」
キャリーケースを玄関に置き、洗面所で手を洗った後にいよいよリビングへ。彼の跡を追って扉を開けると其処には長細く伸びたリビングに3つほどの扉があり
何インチかもわからないほどの大きなテレビ、家具屋に見本として置いてあるようなソファにテーブルなどが置かれている。それの質感もそこらで買えるようなものではなく
何処かブランドのようなものであった。
「とりあえずそこのテーブルにでも腰掛けて。飲み物でも出すからさ」
「あ、はい・・・ありがとうございます」
何故か敬語になってしまう私を笑っていた彼の顔はあの時の感じのまんまであった
救い主と居候 Rod-ルーズ @BFTsinon
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