霧の朝の贈り物 🌁

上月くるを

霧の朝の贈り物 🌁





 晩秋と初冬の狭間のこの時期、高原の川の街の朝は決まって濃い霧に見舞われる。

 牛乳を流したような、とは言ってあげない、米の研ぎ汁をぶちまけたような……。


 意地悪な表現を脳が選択したがるのは、体調万全と言いがたい証しかも知れない。

 きのう、じつに五回目に当たるオミクロン株とかいうコロナワクチンを接種した。


 大規模会場のわりに、スタッフも受ける側も場慣れして(笑)スムーズだったが、往復の徒歩と滞留時間を合わせて計二時間の非日常はやはり応える年齢なのだろう。


 夕食もそこそこにベッドに入り、ひと晩中うとうとして、気怠く起きたのが六時。あいにく冬タイヤの履き替え予約を入れてあったので、なにがなんでも行動開始。

 

 ちゃちゃっと手抜きルーティンのあと外へ出たら、すぐ先も見えないほどの霧で、フォッグライトを点けて走り始めたが、心もとないので夜間のライトに切り替える。




      🐎




 ネックウォーマーもマスクも黒い小学男子が駆けてゆく。教育費、大変だろうね。

 白いダウンコートの若い女性もマスクは黒。三年も白では、いい加減飽きるよね。


 出がけのネットニュースによれば、某県知事が「海外の観光客はマスクもつけずに大騒ぎ」と言い放ったそうだが、どんどん言っちゃってください、当県知事もぜひ。


 橙子にしても、来春、東京で行われる外国人だらけの式典に招かれているのだが、救急車不足の地域が出始めた現況では、命を賭す覚悟が問われそうではないか。💦


 煉瓦造りの司法書士事務所の屋根で、親子の風見馬が仲よく尾を東に向けている。

 マンションのモデルルーム公開中……集合住宅なら少しは減るのかな、さびしさ。


 


      🪟




 いつ不意打ちされるか分からない天災の心配の上に、コロナにキタにウクライナ。

 この霧が晴れたら平和な世界にもどってくれていたら、どんなにいいだろう……。


 どういう脈絡か、ふっと思考がはじける。家族のためにモノは置かない主義だが、これだけはどうしても捨てられないものをスケルトンの箱にまとめて保管してある。




 📒一年に一冊ずつのスケジュール帳。

 📱機種変のあとの古い携帯&スマホ。


 


 手書きとメールと画像……公私にわたる記録が詰まっている、いわば橙子の分身。

 本体がまだ存命なのだから(笑)それぐらいは子どもたちに委ねさせてもらおう。




     🚗




 ディーラーの入口の体温検査も無事にパスし、四輪をスタッドレスタイヤに替えてもらって自宅にもどると、思いがけない贈り物がパソコン内に待機していてくれた。


 今朝「ワクチンのせいか、頭がぼうっとしています」応援コメントに添え書きしたカクヨム仲間からの懇切な星レビューコメントを発見した橙子、ウル。💧💧💧💧


 

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

霧の朝の贈り物 🌁 上月くるを @kurutan

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ