第18話
「シルバ、アインお疲れ!」
戦闘を終えたアインとシルバの元にソフィアとベネットが駆け寄ってきた。
「ソフィアとベネットもお疲れ」
「ソフィアって強いんだな。二刀流なんて初めて見たぜ。それに耐えてたベネットもすげぇけどよ」
「べ、ベネットは避けてただけですから。アインさんとシルバさんみたいな激しい打ち合いはちょっと......憧れます」
四人で集まってからは、誰の何が凄いやら、こうした方が良いやら、お互いに言いたいことを話し合った。
そんな中、見回りをしていたグレイルがアイン達に声をかけた。
「アイン、シルバ見ていたぞ。お互いに良い試合だった」
「ありがとうございます」
「ありがとうっす」
「特にアイン。君は最初にラドス流の構えだったが、ソーク流の突き、ゼルディーク流の動きとかなり多才だったな。三流派の心得がある者はかなり珍しい。称賛に価するだろう」
「恐縮です」
「ふむ。私も一介の武術者として惹き付けられるものがあった。君さえ良ければ一戦興じてくれないだろうか」
突然、グレイルからの申し出。
「そんな......恐れ多いです。僕なんてきっと相手になりませんよ」
アインはこれを遠回しに拒否する。
「君は実戦形式で魔法も使って貰って構わない。私はこの剣1本でいく。それでどうだろうか?」
しかし、グレイルは引き下がらなかった。
アインは悩む。
それはディオラスの教師の実力を知る良い機会でもあり、自分の実力が露呈してしまうかもしれない懸念があったからだ。
今後の事を考えてここは、
「そこまで仰るなら......謹んでお受けします」
「よし、それでは少しこの場を借りよう」
アインは戦う事を選んだ。
教師と模擬戦などめったにない機会だ。
ここはグレイルの胸を借りる事にした。
アインの返事を皮切りに、お互い一定の距離をとった。
グレイルの得物は剣。
構えはゼルディーク流だ。
ゼルディーク流はソーク流とは違い『傭兵の剣』などと言われている。
と言うのも、伝説の傭兵ゼルディークが編み出したとされる剣技だからだ。
ソーク流の派手な技やラドス流の堅実な守りはないが、より戦場に適した泥臭い技が特徴と言える。
その為、魔法使いなどには好まれない流派だが実用的であり、奥が深い。
教師という事も考慮し、相手にとって不足はない。
そんな二人のただならぬ雰囲気にギャラリー達が集まってきた。
教師と生徒の一対一。
それもディオラスの名を冠する教師との戦いだ。
この学院の学徒として、興味を惹かれざるを得ない一戦だろう。
「アイン頑張れ~!」
「怪我するなよ!」
友人の声援を背中に受け、アインはふっと笑みを溢す。
そして、一呼吸おき、気持ちを整える。
「準備は良いか? 」
「はい」
「では、いくぞ!」
アインとグレイルの試合が始まった。
魔術学院の魔剣使い 岡田リメイ @Aczel
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