第4話

学校に通わなくなって1週間インフルエンザだと言って休んでいるため、お見舞いに来る人はいなかった。

学校には友人がちゃんといるためLINEで連絡は来た。

移りたくないから来ないそうだ。

まぁ俺インフルじゃないんだけどな。



母さんが部屋に来た。

何があったのか話すように言われ渋々といった感じで、事情を話すと母さんは俺に行けるようになれば学校に行けばいいと言ってくれた。

なんて優しい母親なんだろう。


「雄星、ううん何でもないわ」


母さんは俺に何かを言おうとした。

しかし言うのをやめてしまった。

俺は母さんが何かを溜め込むことが嫌いだった。

昔一人で溜め込みすぎて倒れたことがあるからだ。

だから俺は母さんに話してくれと言った。


「母さん話してくれよ。一人で溜め込まないでさ」


そう言うと母さんはなぜか頬を赤らめもじもじとしながら俺にこう言った。


「母さんね、結婚したい人がいるの……」


「……」


「いい…かな……?」


「……」


思ってたことと違った。

何か苦しくなるようなことを一人で溜め込んでるのかと。

一人でうんうんうなっていると母さんがスマホを持って俺に見せてきた。


「この人なんだけど……」


うわ、優しそうな人。

母さんが見せてくれた写真には優しそうな男性と手を繋ぐ母さん。

母さんが手を繋いでない方の男性の手には俺と同じ高校の制服を着る女の子が手を握っていた。

この女の子の顔どこかで見たことがあるな。

思い出せないや。

ていうかこの写真なんだよ?!

もう家族写真じゃないか!


「悪い人じゃ、ないんだよ……?」


「あ、はい。いいんじゃないでしょうか」


母親のこんな顔見て断れるやつはいるのだろうか。

少なくとも俺は無理だった。


「ちなみにこの写真いつ撮ったやつ?」


「昨日だよ」


「へえー」


それから母さんは俺にその男性、椎名 佑弦(しいな ゆずる)さんとの馴れ初めについて事細かく楽しそうに教えてくれた。


母さんが心から笑うのを久しぶりに見たかもしれない。

良い家族になれるといいんだが。




                




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生まれてからの17年間嘘をつかれすぎた俺が、最愛の彼女の嘘の別れ話を本当だと思い込んでしまった結果 さらさらじゅぶこ @ahoy

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