第3話
3月13日
名古屋ウィメンズマラソン2022が開催され、ルース・チェプンゲティッチ(ケニア)が大会新記録で優勝した。日本人最高位は安藤友香(ワコール)で3位。
第13回パラリンピック冬季競技大会の閉会式(英語版)が催行された。日本選手団は合計7個(金4、銀1、銅2)のメダルを獲得。
今日は日曜だ。ポカポカ温かいので風磨は近隣をマウンテンバイクでサイクリングすることにした。
朝焼けの差し込む、ぷろむなーど杉田商店街を走った。
磯子出身の有名人といやぁ、『東京ラブストーリー』でリカねライバル、サトミを演じた有森也実や、『Sの警官』や『わたし定時で帰ります』に出てた向井理、『キッズ・ウォー』や『おひさま』に出てた井上真央、宇宙飛行士の野口聡一などがいる。
ピーコックストアに寄って缶コーヒーを買った。最近は物価高で何でも高い。自販機よりスーパーの方が安い。
ベンチで飲んだ。
その後、横浜こども科学館にやって来た。風磨の精神年齢はまだ幼い。建物外観は宇宙船をモチーフにしている。
5FからB2まで、館全体が巨大な宇宙船をイメージした体験型科学館。
フロアごとにテーマの異なる5つの展示室があり、子どもから大人まで、自分でふれて体感して、楽しく遊びながら宇宙や科学のふしぎを学ぶことができる。
宇宙の広がりをさぐる5F「宇宙船長室」。
キャプテンシアターでは、身近な道具を使った科学実験ショウ「サイエンス・ショウ」や、宇宙をテーマにした映像と道具を使った解説を行う「サイエンス・ミニトーク」を土日祝に開催。
4Fは、「ビーコロ®」や「サイクロイド滑り台」など、玉の動きを通して物理の法則を体感できる「宇宙研究室」。
3Fは、「月面ジャンプ」や「空間移動ユニット」が人気の「宇宙トレーニング室」。
2F「宇宙発見室」では、カミナリやオーロラのふしぎにふれることができる。スペースラボでは「ミニ実験」を土日祝に開催。目の前のカウンターで実験を見られる。
B2「あそびの広場/特別展示室」では、秘密基地のようなプレイハウスで道具の組み立てを体験したり、様々な形のマグネットパズルを壁面に貼り付けられる。また、春季や大型連休、夏季などに様々な企画を開催。
宇宙劇場(プラネタリウム)では、直径23mのドーム全体に広がる迫力の映像と、リアルで美しい星がつくりだす、臨場感あふれる宇宙を体験できる。小さな子どもから大人まで楽しめるプログラムを投影。全ての番組の前後どちらかで約15分間、スタッフによるその日の星空解説も実施。
その他、月に1~2回程度、星空観察会を開催。プラネタリウムで宇宙のお話をした後、実際の星空のもと、星や星座の解説を行っている。天体望遠鏡で月や惑星などの天体観察も実施。
建築設計は環境デザイン研究所(仙田満)及び日建設計。宇宙劇場を先端にした3段ロケットのような構成をとる。後部は小さなサイコロの積木のような意匠となっており、南側の公園およびそれに続く住宅地のヒューマンなスケールに合わせるように意図されている。
黒いコートを着た男が南側の公園にいた。
俺は妙な気味悪さを感じた。この男は何かヤバいことに関わっている。かつて、刑事だった俺の勘だ。
俺はかつての部下の若葉を男の手から救い出し、磯子から脱出しようとするが裏切りに会い、死の危機にみまわれる。
そこを食品業界を支配する鈴木渚の手下、土屋あずさに救われる。
土屋あずさは廃墟で少林寺拳法で男を撃退した。
「若葉、あの男は誰なんだ?」
俺は問いただした。
「私にも誰だか分かりません!けど、きっとパーシーを殺した人よ」
俺は若葉から詳細を聞いた。
「パーシーが通っていた塾って俺の勤め先だよ」
「マジですか!?けど、まさか財前が裏切るとは思わなかったわ」
財前ってのは若葉の部下で塾に潜入しているらしい。
「きっと真犯人に買収されたんだ。かなりの富豪だよ、犯人は」
俺は言ってから鈴木渚の顔を思い浮かべた。
3月14日
俺は自宅でサンドイッチを食べながらニュースを見ていた。
国税庁運営のオンラインサービス「e-Tax(国税電子申告・納税システム)」で接続障害が発生。15日が確定申告の期限日だった。国税庁は、個別指定による期限延長の手続きを行うことで後日提出が可能としている。
東京地検特捜部は、河井夫妻選挙違反事件で現金を受け取ったとされる地方議員ら34人を公職選挙法違反(被買収)の罪で起訴したと発表。34人のうち25人は略式起訴、9人は在宅起訴。
河合夫妻はゴミみたいな連中だと俺は思った。
次のニュースには衝撃を受けた。
プール跡地が何者かによって爆破され、焼け跡から財前の遺体が見つかったらしい。
警察から逃れるためにホームレス生活をしていたようだ。
パーシーといい、財前といい若葉に関連してる人間ばかり殺された。若葉に恨みを持つ者の仕業かも知れない。
同じ頃、鈴木渚は卵かけご飯を食べながらニュースを見ていた。同じ磯子エリアで爆破事件なんて物騒だ。
スマホが鳴った。
「もしもし、あぁ、秋坂くん?」
秋坂とは幼馴染みだ。
『あのときは助かったよ。君の助けがなかったら勝てなかった』
渚は2月に蘭の秘密を突き止めた謎の中年女性だ。
「それをわざわざ言うために?」
『君って結婚していたのか?』
「昔してたけど、クズな旦那で。10年前に別れたよ」
『もし、君さえ良ければつきあってもらえないか?』
「ごめん、男はもうこりごり……」
『そうなのか。分かった』
秋坂はケータイを切った。
長沼がずっと無断欠勤している。
妙な事件に巻き込まれてないといいが。
弁護士は人から恨まれる職業だ。
現にオウム真理教事件では坂本弁護士が犠牲になっている。
が、長沼こそが骸骨騎士だったから驚きだ。
長沼は父親を若葉によって射殺されていた。
長沼の父親はヤクザだったのだ。
長沼はずっと若葉を恨んでいた。
若葉を不幸のどん底に叩き落とすために、婚約者のパーシーを殺した。
財前はなかなか役に立った。彼のお陰で若葉の居場所も突き止めることが出来た。
だが、欲深すぎた。最初に10万もやったのがよくなかった。
『あんたのやってることブンヤに流してもいいんだ』
奴はさらに10万も要求してきた。だから爆破した。
もうじきで若葉の家に辿り着く。
電信柱の陰から張った。
ヒヨドリがやかましく囀っている。
空が灰色に染まりつつある。
チューリップハットをかぶった女性が玄関から出てきた。
後をつけた。
しばらくして、気づいた。囲まれてる。
女性がチューリップハットを脱いだ。
最上風磨、留萌のときは大した働きはしなかったが、今回は抜群だ!女装も様になっている。
「おまえ、俺を騙したな!?」
ダガーナイフを懐から抜いて襲いかかってきた。
バスンッ!!
銃声が響いた。撃ったのは若葉だった。
「パーシーの敵だ!」
長沼は絶命していた。
夫の弔い合戦に勝った若葉は涙を零した。
磯子殺人事件 鷹山トシキ @1982
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