だから!この世界で最強の武器は"スコップ"だって言ってるだろ!
ᗦ↞︎◃︎
第1話 スコップと俺
「いやぁ、助かりましたよ、あの洞窟はレベル15以上だったんで、始めたての俺だとすぐに向かえなくて困ってたんですよ」
「良いってことよ、みんなあの洞窟のレアドロップを欲しがってるけど、配信開始したばっかでまだレベルも上げにくいクエストばかりだしな」
「専用グローブも勿論買ったでしょ?すんごいのよ今はレベル1用の木の剣だから振った感じも軽いしレベル2からは壊れて持てないからそんなに作り込まれてないんだけど、石や鉄の剣になると重さを感じられるのよ?」
「本当ですか!?楽しみです!!」
「ほら、あったぞ宝箱!」
暗い洞窟のその奥にひっそりと宝箱はあった
「でぇ〜もぉ?ミミックとかだったら大変でしょぉ?だからあたし達が先に開けてあげる」
「あはは、ほんとに最後までお気遣いありがとうございます」
「ハッ、こっちこそありがとうなぁー?いいカモがいたおかけでまた良い金にありつけたってもんだ」
「このクエスト限定の灼熱の聖剣は1人1つまでの限定、それも最初期の事前予約した人じゃないとドロップしないのよね、しかも明日がこのクエストの最終日、だから今どんどん高額取引がされてるのに、ほーーんと残念よねぇ?」
「え、あ、そんな凄い剣があるんですね」
「「え」」
「俺はそっち目当てじゃないんです、こうして...」
宝箱の周りを時計回りに3回周り、左右を木の剣で叩いてその後宝箱を開ける
「やった!ありました!」
「ほ、ほかになんかあんのか」
「スコップです!!!!」
「「スコップぅ!!!?」」
「はい!スコップです!本当に本当にありがとうございます!」
「お、おい、本気で言ってんのか?!な、なんだよ返して欲しいなら言えよな、金払ってくれりゃ返してやるっての!」
「いえ、それは受け取ってください、俺からのお礼だと思って」
「ねぇ、本当に大丈夫?あんたが持ってんのスコップよ?この先冒険なんて出来はずないわよ?」
「スコップがいいんです!!こんなにも素敵な人達に出会えるとは思ってなかった、やっぱり今も昔もネトゲには素敵な人しか集まらないんだって分かりました、ありがとうございます...!」
「泣かないでよ!」
俺は
昨晩の素晴らしい出来事を早速佐藤にも聞いてもらうため 昼休憩のチャイムが鳴るのをいまかいまかと待ち、ついに声をかけ、昼食を摂る
「って事があってさ、ほんと佐藤から金借りてでも買って正解だったよ」
「いや、それどういう状況だよ」
「ほんっとに、いい人達だったんだよ」
「それいわゆる転売ヤーってやつじゃねぇの?フリマサイトでデータ売るのがダメならゲーム内メッセージで取引させるとかそういう類の」
「俺にとってはいい人だったの!」
「だいたいなんだよ、スコップって」
「佐藤、スコップはスコップでもただのスコップじゃぁーねぇんだなぁこれが
まずこのゲームを作った
「長い、要約しろ」
「人に聞いておいてなんだよそれ、はぁ…スコップは小野さんが一番最初にフラッシュゲームに登場させたアイテムで今作のVR用にいままで触ったこともない3Dを勉強して、自らの手で初めて3Dモデルを作ったのがこのスコップだったってわけ、長年スコップを愛した人のゲームだぞ?最強に決まってるだろ」
「日本語は理解できるがお前の言ってることがみじんもわからん、ただ言えんのはお前のことが本気で心配になったって言うのは言えるぞ」
「なんでだよ!」
佐藤は立ち上がる
「部長、山吹の頭が…じゃなくて具合が悪いみたいなんで早退させてやってください」
「今の絶対故意だろ!悪意を感じるぞ!」
「山吹、無理はするんじゃないぞ?大事を取って今日は帰りなさい」
「なんでそういうところホワイトなんだよ!こっちがwhy?だよ!」
「そういうことだ、帰れ山吹」
俺は弁当の半分と怒りを家に持ち帰ることになった、だからと言って寝て過ごすわけがない!俺はまたMMOの世界へと旅に出、スコップのさらなる高みを目指すことにした
「なぁ、あそこにいんのスコップだよな」
「いや、スコップなんか持ってんのあいつくらいしかいないわよ」
昨日聞いたあのお声
「影狼さん!Raniアスタリスクさん!」
「アスタリスクまで読むんじゃないわよ!」
昨晩スコップとの運命的な出会いを見届けてくださったお二人にまた出会うことができた
「昨晩は本当にありがとうございました!」
「お前本気でスコップ使ってんのな…」
「はい!職場で友人に伝えたら帰れって言われたので昼からレベルを上げてたところです」
「お前が働けてる事にも友人がいることにも安心したわ、そいつ大事にしろよな」
「お二人は俺の事も大事にするべきだと思います、どうしてフレンドが外れてるんですか?」
「外れてんのはあんたの頭のネジよ、っていうかなんでクエストに一緒に行った奴はフレンド外しても強制ボイチャになるわけぇ?」
「運営のやさしさですね、Rani*さんとまたお話できるのは俺嬉しいですけどね」
「うるさい!しゃべるな!」
「しゃべるな…シャベルだけにですか?俺のはスコップですよ?」
「本気で黙ってちょうだい」
配信開始から一週間目が昨日で、ボーナスの受け取りも昨日までだった、なかなかゲーム機本体を店頭で見つけられなくて佐藤が代わりに見つけてくれてさらには立て替えまでしてくれて、ゲームでは受け取りにレベル制限があるクエストに招待して連れて行ってくれた二人がいる、俺の身の回りには優しい人がたくさんいるんだって、スコップは沢山教えてくれた。
「ところでレベルを上げたって、そのスコップで何ができるわけ?」
「それは実際にクエストに一緒に行って確認していただいた方が早いですいよっ」
レベル10 =実りの森=
「このクエストはNPCのおじさんが畑を守って欲しいっていうクエストですね、まずスライムとウルフの討伐と柵用の木材を手に入れるのが目的です」
「スライムは魔法じゃないとはんぶんになって増えちゃうわよ」
「ウルフはすばしっこいから遠距離じゃねぇと無理だな」
「簡単ですよ」
まずスライムは、スコップの
「最後無理やりじゃない!」
「石まで物理演算が付いてるんですよ?使わないでどうするんですか」
「っていうかシャベルとスコップって何がちがうのよ」
「掘るかすくうかですね、でもスコップって書いてありますけど正式には剣スコップですねこれ、制作した小野さんは西日本の方ですがミリタリーもお好きな方で携帯エンピを参考にしてるみたいで、スコップでありながら四角いタイプではなく剣スコップのようになっていて、多目的利用が前提なので使い方はあってますよ!」
「えん…なんて?」
「
その後はじめは難なくスコップで木を伐り倒していた、現実なら断面はおおよそズタズタであろうが、ゲームはスコップで無理やり伐られる事を想定していないので綺麗に伐れた
「ねぇそんな使い方して壊れないわけ?」
「ああ、それは俺も気になってたんだが」
「問題ないですよ!前作のスマホ版だとスコップはガラクタとしてドロップして、スクラップにしたあと鉄素材として修復とかレベル上げに使ってたじゃないですか、なのでこれもその名残で耐久値が無いんですよねー」
「「は?」」
「耐久値を回復させるのに大量の資材とか使っちゃうと無駄じゃないですか、それよりも防具にその素材とか回した方が効率も良いんです、完全なMMOになった以上サーバーを安定させるためにリリース直後は様子見ってことでモンスターの沸き数も今はあまり多くないらしいですしね、だからこの世界ではある意味最強の武器とも言えますね」
だから!この世界で最強の武器は"スコップ"だって言ってるだろ! ᗦ↞︎◃︎ @Kumako0812
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。だから!この世界で最強の武器は"スコップ"だって言ってるだろ!の最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます