ユーモアたっぷりのほろ苦さ……。

 結末が魅力的な逸品だと思います。コミカルな雰囲気が一転して、人生のほろ苦さが、ちょっとだけ顔を覗かせる――。そんな印象を抱きました。この転換がとても良いです。

「これは、喜劇なのか、悲劇なのか」と迷った末に、「やっぱり、立派な喜劇だな」と頷いてしまいました。人生とはどうしようもなく苦いものです。あまりに苦いために笑ってしまうほどです。悲しみも突き抜ければ、笑いとなるのだな、と考えさせられました。そして、笑えことができるのなら、まだまだ、生きていけるのです。不思議は晴れやかさが、この作品にはあります。素敵なショートショートだと思います。