第32話 練習生同士の本音
さて、彼ら6人は晴れて3対3に別れてグループ評価会が始まった。
練習ではぐるんくんのチームのひなたがぐるんと対立して、練習どころではなくなったりした。
穏やかにチームをまとめることすら難しかったのだが、他のチームの才くんがひなたくんに言った。
『ひなたさん、僕らは今は互いに競い合うチームです。でも、四次審査ではどうなるかは分かりませんが、チームでいざこざがあっては、これから仮にデビューした時とても苦労します。だから、少しだけ歩み寄ってはくれませんか?ぐるんもルイラーくんもただ良い姿を社長やトレーナーに見せたいだけなんです。お願いします』
そう言って彼はひなたに頭を下げた。
彼は、ひなたよりも年下なのに、こんなにも綺麗な一礼を見て、ひなたは言った。
『才くんには敵わないよ。ごめんなさい。ちゃんとやるので、ぐるんくん...仲直りの握手してくれる?』
そう言って、ひなたさんは手を差し出すがぐるんくんは吐き捨てるように思ってることを呟いた。
『あんた、実力が上の人にはペコペコして、俺らみたいなまだまだのやつには舐めたような言い方して正直一緒にやっていて気色悪いよ。もうさ、練習生辞めてくれないかな?元の職業のホストに戻ってホストしながら趣味でダンスしてた方がいいんじゃない?ここは、人生かけてデビュー目指してるんだよ。人を侮辱するのはホストで上位にいた傲慢さからなのかな。そうだとしたら、帰れよ!』
ひなたが何か言う前にルイラーが言った。
『ぐるんくん、STOP‼︎ひなたさんはとても良い人だし、確かに僕らに比べたら彼はとても上手いです。でも、ひなたさんも僕らと同じで生半可な気持ちでここにいる訳ではありません。だから、まずはひなたさんの本当の気持ちを知りましょう。ひなたさん、どうしてぐるんくんを貶すのか、そしてなぜ練習生になったのか話して下さい』
ひなたは唇を噛み締めて言った。
『僕は大学生になってから、18歳からホストとして【ひなた晴矢(ひなたはるや)】として働きました。女の子の気持ちを分析して、LINEやインスタで姫をお店に連れてきて飲んで、お金を給料としてもらう日々はホストにしか出来ない貴重な体験だと思います。それを僕は22歳まで続けました。大学ではホストと勉強それから高校時代はダンス部だったので、大学もダンスを続けていました。卒業と同時に夢だった練習生のオーディションに合格したのが、今の事務所でした。その時は絶対にデビューしてやるって思っていました。ただ、ぐるんくんとルイラーくんに会って、僕より年下だって分かって、それでダンスも歌も何もかもが下手すぎてそう思うと隣のチームと大違いと思うたびに、練習のやる気もなくなったんだ。でも、悪かったのは僕だって認めるよ。本当にごめんなさい』
やっとひなたの本音を聞き、練習が再開された。
そして、練習をひたすら重ねて評価日がやってきた。
社長は6人を見るなり、言った。
『みんな練習をいっぱい頑張ったと聞いてるよ。ここでみんなに伝えておくことがあるんだ。デビュー人数は3人から4人になった。そして、この評価の基準は誠実で実力があり、才能があるかを個人評価で順位を発表していく。誠実さは事前の練習室での言動なども含まれるから、これからは要注意して発言するようにな。それでは、ぐるんくんチームからお願いします』
そして、明るく輝けるそんな曲を歌い出した。
ダンスレディな彼女の日常 ソノハナルーナ(お休み中) @eaglet
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