第31話 可愛い曲と明るく魅せられる曲

『それじゃあ、葉鶴と才くんと東良で組んでくれるかな。ぐるんはルイラーとひなたでお願いね。これから、やってもらうのは創作して歌を作ってもらいます。全部自分たちで作ったものを形にして、1週間後に披露してください』

そう言ったのは、事務所のトレーナーだった。

カメラはその様子を撮っていた。

才は同じグループになった葉鶴と東良に提案した。

『これからどんな曲にするかによってダンスとか変わるけどどうする?』

すると葉鶴は手を挙げて言った。

『かっこいいっていうより、可愛い感じの曲にしたいです』

『じゃあ、可愛いダンスとか考えられる?』

『はい、多分できると思います!』

2人で話している時に蚊帳の外だった東良が突然言った。

『あの、じゃあ俺、可愛くないラップ書いても良いですか』

『可愛くないラップ?』

『2人が可愛く踊って歌ってるのに対して俺は反対にクールな感じでラップするみたいな感じにしたいんですけど、だめですかね』

すると、葉鶴が食いつくように言った。

『良いじゃん、それ。東良さんの考えを取り入れましょう』

才のチームが順調に曲を作り始めている頃に、ぐるんのチームは焦りまくっていた。

なぜなら、3人とも我が強く、まとまらなかったからだ。

『僕はみんなが輝ける舞台を作りたいから、明るい曲を作るのがいいんじゃないかな?』

すると突っかかったようにひなたが言った。

『何それ、そんなんじゃなくてもっと魅せるダンスと歌でやった方がいいでしょ。ラップは少なめにしてさ...歌にラップとか必要?フフッ』

ぐるんは息を吐いて言った。

『あのさ、必要とか必要じゃないとかひなたが決めた訳じゃないんだよ。事務所が言ったことを曲げるのは違うと思うよ。とりあえず、みんなが輝けて魅せられる舞台を作ることで良いんじゃないかな』

なんとか3人の意見が一致して、やっと曲を作り始めた。

そんな様子をカメラで撮影している様子を練習室の前で国光無二とラビットボーイが見つめていた。

ラビットボーイは言った。

『なんか、昔クリエイターズの研究生の時思い出すなぁ。すごく、喧嘩してぶつかりあったのを覚えてる。でも、確かひなたって子は無二さんのファンの子らしいですよ』

無二はラビットボーイの頭の上に顎を乗せながら言った。

『あっそ、だいたい私のことが好きとか言うやつなんて、成功しないタイプだから。誰かを好きって言ってるうちは下心しかないやつだよ。だから、もしかしたらひなたは脱落するかもね』

『無二さん、まだオーディション始まったばかりなのに酷い予言するのはやめましょうよ。そろそろ、行きましょうか。次の予定もありますし』

そして、無二とラビットボーイは練習室を後にした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る