エピローグ
★ツカサ
「やったじゃないかツカサ」
「もう大丈夫なの?フレイ」
フレイと変わってから時間があまりたっていないのに随分と回復しているみたいだ。
「ああ、体調の方は魔力ポーションを飲んで再生の魔力で回復さした」
「そうなんだ。でもよかったよ。無事で安心した」
僕はフレイの体調が心配だったから素早く戦いを終わらせることにしていたのだ。それが叶い可能な限り早く戦いの決着をつけた。
「それで会長に勝ったけどお前はどうするんだよ」
「えっと、それは」
唐突にフレイから今後のことを聞かれた。僕はやるべきことを理解している。だが、それに踏み込むのを恐れている。
「ツカサ、お前は十分強くなった。それは理解しているだろ」
フレイは僕をほめているのか僕は少し照れてしまった。
「そ・そんなことは」
「お前も気付いているんだろ。もうここでやれることはないってことに」
「なにを言ってるの。僕は」
「俺たちはもう十分だ。お前自身のことだけを考えてくれ」
僕は不思議な感覚にとらわれていた。
理解したら今の生活が壊れてしまう。僕は今何をするべきなのか理解しているんだ。
僕は何もわからないふりをしてきた。僕は真実から目を背けてきた。
僕は…僕は…
「僕は!」
僕の背後に白い扉が存在していた。
「ようやく現実に目を向けれたんだな」
「ごめん、フレイ。僕はやらないといけないことがあるから」
「わかっているよ、ツカサ。これでサヨナラじゃないんだ。俺は…俺たちはこれからも一緒だ」
フレイがそういう背後には会長と副会長がいた。彼らは僕の大事な人なのだろう。今この時になっても目を背けているが、この世界が現実ではないということだけは理解できた。僕は後ろにある扉に手を触れながら言った。
「フレイ、楽しかったよ。君は最高の友達だ」
僕はもうこの世界にしか存在しないフレイに別れを告げた。
もう二度と話すことは出来ないということを理解してしまったから僕は涙がこぼれてしまった。
「ツカサ、俺も楽しかった」
僕が触れた扉が開いたときにフレイの声が聞こえた。思わず後ろを振り向きそうになると扉に強制的に体を入れられてしまう。
「ツカサ!ありが…」
フレイの最後の言葉が聞き終わる前に僕の意識は失っていた。
★???
「計画はどうなっている?」
「予定通りに進んでいます」
暗闇の中に二つの人影がいる。その中で何かを話し合っているようだ。この部屋の外はごろごろと雷が響いている。その光景はまるで闇の存在という風貌だ。
「それなら次の段階に進めてもよさそうだな」
「はい、魔王様。あの者に次の段階に進めるように命令しておきます」
「そうするか。ここからは慎重に事を進めろ。あいつに気が付かれれば計画が終わってしまうからな」
「心を得ております。では、行ってまいります」
そう言うと一つの人影は消えた。
古代魔法の担い手 ニクス @houou1192
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